20・・・ゴキブリか
体がだるい。【弱毒刃】でもいたのだろう。傷は浅かったがそこから毒が流れ込んでいたとしたら・・・最悪死ぬかな。
『たからばこあるよー』
何っ!?それは早く行かねば!
隠しステージっぽかったしある可能性があったのに失念していた。
ソラが言う宝箱のところまで歩く。
周りにはゴブリンの死骸、死骸、死骸。
原形を留めているものもあれば、もう何だったのか分からないような姿のものもある。
床は石畳の灰色っぽい色ではなく、ゴブリンの鮮血によって青色に塗り替えられている。
一歩歩くごとにピチャッピチャッと水溜まりを踏んだ様な時の音と俺の荒い息が出る。
『なぎ、ひどそう。だいじょうぶ?』
「ソラよ。そんなのどうでもいじゃないか。それより宝箱だ」
『そうなの?』
宝箱の前まで移動した。俺が壊した壁の丁度対角線上にあった。
ダンジョンではたまに宝箱を見つけることがあるそうだ。
一層なんかは誰もが一番最初に来るところだから、マップは埋め尽くされていて、宝箱が見つかるなんて思ってなかった。
隠しステージだったから宝箱が残っていたと言うわけだろう。
てか一層でゴブリン100匹以上はヤバすぎる。GやF、Eなどのソロは間違いなく勝てないだろう。どんな無茶振りだよ。
まぁそれはいい。それより宝箱だ。
こんな苦労をしたんだからそれなりにいいアイテムが手に入るんじゃないだろうか。
期待を胸に宝箱を開ける。
シュッ!
凄い勢いで宝箱から何かが飛び出し、俺の横を通って行った。
・・・今の何?
『ソラ。さっき自分で中に何か入ってないかなんで調べなかったんだって俺に言ってきたよな』
『そ、そうだね』
『自分で見てなかったのかな?』
『あの・・・ごめんなさい』
分かってくれた様なのでこれくらいにしておく。
『それよりさっきのどこ行った?』
『ごめん。わかんない』
だよね。
!?【空間把握】でも分からない?
今は冒険者と魔物、マップを見ている。つまりそれ以外の奴。
『・・・ゴキブリか』
『?なにそれ?』
『虫』
『あー』
納得してくれたみたいだ。
今はそれよりも宝箱だな。
中に入っていたのは小さな瓶数本だった。瓶の中には不思議な色の液体が入っている。
『もしかして治癒薬か?』
『そうだね。しかもはいぽーしょんだよ』
『珍しいの?』
『じょういのぼうけんしゃがつかってるやつ』
珍しいわけではないけど、下層では取れないそうだ。まぁ、こんなもんか。
一つ飲んでみる。味はそこまで美味しいと言うほどのものではなかった。
だが、飲んだ瞬間に傷がふさがっていき、だるさが吹き飛ぶ。上位治癒薬はだてじゃないってことか。
『おにく、おにく』
ソラはそんなことより肉らしい。
幸い、焚火は俺らが踏んでいる地面から一段高いところにあったため、血液で消化されていない。
その周りにゴブリンの残骸を置き、その残骸に串をさして刺して肉を焼く。
お?いくらか刺しやすくなってない?もしかして技量上がった?
というわけで焼いている間暇だしスキルカードを確認することにした。
今回獲得したのは、
【拳術】【並列思考】【痛覚軽減】【再生】そして【精霊魔法】の技量が高まったことで習得した【異次元収納】だ。
今回は次々と襲ってきたため【悪魔吸血】でもスキル獲得はできなかった。生き血ではないとこのスキルは発動しないので今からじゃあできない。
その為これらのスキル、スペルは全て自力で獲得したことになる。
因みに効果はというと、
【拳術】拳を使った攻撃が鋭くなる。また、その時の攻撃の威力上昇(微)
【並列思考】2つの事を同時に考えることが出来る。技量によって片方に動作を加えることが出来るようになる。
【痛覚軽減】感じる痛みを少なくする。感じる痛みは技量に依存。
【再生】時間が経過するにつれて傷の回復を行う。回復速度は技量に依存。
【異次元収納】収納量無限の異空間の扉を開き、ものを収納できる。生物を入れることは出来ない。
という感じだ。
【並列思考】は最初なぜ獲得できたのかと思っていたが中にソラがいる状態で別の事をしていたからなのだろう。
技量が上がったのは【血液凝固】【空間把握】だ。
そして称号【ゴブリンキラー】を獲得。
【ゴブリンキラー】
獲得条件 一回の戦闘でゴブリンを百匹以上仕留める。
効果 ゴブリンに対する攻撃力、防御力上昇(微)
正直言って【拳術】はもう【血液凝固】の技量が上昇したので使わない。
それを考えると戦闘系のスキルはまだ獲得できてないってことになる。
『まだー?』
よほどお腹が空いたのかソラがまだかまだかと催促をする。
『もうちょっとだから待ってろ』
『わかったー』
ソラは素直に言うことを聞く。
そこは見習いたいものだな。
「ふーん。家畜のくせに美味しそうなもの作ってるじゃない」
そうか?あんま美味しくなさそうなのだが
・・・・誰?




