1なんだ魔法陣か・・・・
「ごめんなさいっ!」
そういって足早に教室に去ってゆく彼女を俺は踊り場の陰から見ていた。
目の前には今しがたクラスのマドンナ、霜月理須奈に振られた友人、篠村夕ががっくり肩を落としていた。
「ざまぁww」
「ちっとは慰めろやテメェ!!」
「酷いな。慰めたじゃねえか」
「どこが!?」
「声をかけてやっただろ?」
「そこかよ!?行動と言動が一致してねぇんだよお前は!」
夕はまた肩を落とし、項垂れはじめた。
それほど悲しかったのだろう。俺も一応夕の相談に乗ったりしていたから夕が今どんな気持ちになっているかは分かるつもりだ。
「やっぱり俺みたいなやつが霜月さんに告白なんて無理だったんだよ・・・・」
「確かにその通りだな」
「これほどお前を殴りたいと思った事は初めて・・・・じゃねぇわ。とりあえず殴らせろ」
「えっ?お前いつの間にSに転職したの?」
「なんで俺がもともとMだったみたいに言ってんの!!?」
「それはそうと早く教室行こうぜ。もうじきチャイム鳴るし」
「急に真面目になったな。はぁ、まぁいいけど」
そういって俺たちは階段を後にした。
「お前絶対友達少ねぇだろ。てゆうか俺以外友達いるの?」
「言われてみれば一人もいないかもしれないな」
「俺は!!!?今友達アピールしたばっかりだよな!?」
「・・・・・・・・」
「無視かよ!」
教室には大多数の人間がいた。まぁもうすぐでチャイム鳴るし、当たり前か。
にもかかわらず俺は今から寝るけどな。
机に突っ伏したところで異変は起きた。
「な、何だこれ!?」
「床が光ってる・・・・?」
周りがうるさくて反射的に顔を上げる。
教室の真ん中を中心とした大きな円。その中には見たこともないような文字が散らばっていて、その模様は青白く揺らめくように光っている。
「ん・・・・・・・・なんだ魔法陣か・・・・」
「リアクション薄っ!魔法陣だぜ?もっとこう・・・・なんかあるだろ!?」
「もう寝るおやすみ」
「この状況でよく眠れるなお前・・・・」
ほんとは内心結構驚いていたけどな。なんか周りの連中の驚く声を聴いていたら冷めてきたんだよな。
あと一瞬だけしか見てなかったが俺の足元だけ別の魔法陣があったような気がしたんだけど・・・・まぁどうでもいいか。
その思考を最後に俺の意識は白く塗りつぶされていった。