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10快楽が待っているから

血が欲しい。理性を失いそうだ。熱い。熱い。熱い。


 「はぁ・・・はぁ・・・」


 「あれ?もしかして吸血衝動?」


 流石にシエラも気づいたのか近寄ってきてそんな事を聞いてくる。


 今は喋るのも困難なため、首肯だけしておく。


 「そっか~」


 気持ち嬉しそうにシエラはそんな事を言ってくる。Sかこいつ。


 そんなこんなしてる間にまた理性が飛びそうになる。


 「じゃあ、私の吸う?」


 そう言ってシエラは自分の襟のボタンをはずし、髪をどかして首をこちらに向けてくる。


 「その代り終わったら私にも吸わせてね?」


 気が付いたら俺はもう首が壊れるくらい頷いてシエラの首に釘付けになっていた。


 この時冷静な判断が出来たら、なんでシエラは見たところ吸血衝動に襲われてなさそうなのに血が必要なのかとか今倒した兵ではだめなのかとか聞いていたのだがそれは今更だった。


 そんなもの目の前の血からしたらどうでもいいことのように思えた。


 血だ。血だ。血だ。


 俺はゆっくりとその白い首に牙を立てた。


 カプッ


 刺した牙から溢れ出てくる血がとても美味しく感じる。


 「ちゅぷ・・・じゅるぅ・・・・ん・・・・は」


 「んん・・・あっ・・・・・うぅん・・・・」


 すぐに虜になった俺は貪る様に血を吸う。


 出てきた血が無くなればもっともっとと急かすように牙を痕から出したり入れたりを繰り返して吸い続ける。


 やがて理性を取り戻したときにそれは来た。


〈条件を満たしました。称号【吸血王の血を吸う者】を獲得しました〉


〈スキル【超幸運】の使用を確認しました〉


〈称号【吸血王の血を吸う者】の効果によるスキルの獲得・・・・成功しました〉


〈条件を満たしました。スキル【魔王吸血(ベリアルバンパー)】の劣化スキル【悪魔吸血(デビルバンプ)】を獲得しました〉


〈【吸血】が【悪魔吸血(デビルバンプ)】に統合されました〉


 ん?


 なんか色々来たけどなんぞ?まず声は透き通るような女性の声だった。ココ重要。


 多分これ王が言ってたスキルカードのアシストログみたいな奴じゃない?


 だとするとスキルが増えたって事でいいんだよな?


 どうなったか見るためにシエラに少し断りを入れてからスキルカードを出した。


悪魔吸血(デビルバンプ)】自分以外の生き物の血を吸うことで使用が可能。魔力の回復、傷の修復が出来る。更に低確率で相手の持つスキルの劣化スキルが獲得可能。


 !?


 あれ?【吸血】がなんかすごい事になってるわー。なんで獲得できたんだろう?称号もなんか増えてたよな。それが関係してんのかな。


【吸血王の血を吸う者】

獲得条件:称号【吸血王】を持つ個体に【吸血】を使用する。

効果:低確率で称号【吸血王】を持つ個体の所持スキルも劣化スキルをランダムで獲得することがある。


 なるほどこれですかー。


 「シエラさん?」


 「え?何?何?」


 明らかに上機嫌になったが今は無視。


 「【吸血王】って称号持ってます?」


 「持ってるよー?」


 「スキルを手に入れるスキルも持ってます?」


 「持ってるよー。何なら教えてあげよっか?」


 上機嫌モードのシエラさんはたいてい何での教えてくれることが分かった。


魔王吸血(ベリアルバンパー)】自分以外の生き物の血を首から直に吸うことで使用が可能。魔力の回復、傷の修復が出来る。高確率で相手の所持スキルから劣化スキル、低確率で相手の所持スキルを獲得可能。


 チートじゃん。いや、似たようなのは持ってるよ。いま獲得したやつね。でも高確率って。


 ちなみに本人はこのスキルあまり使ったことが無いそうだ。


 つまり吸血衝動が出てないのに俺の血を求めるのはスキルが欲しいと言う事なのね。


 「じゃあ、次は私の番だね。ほら、首出してー。」


 それを知ったからと言って抵抗はしない。もともとそういう約束だったし、何よりこの人・・・いやこの吸血鬼に力で勝てない。


 俺はシエラに身を任せることにした。


 「大丈夫大丈夫。痛いのは最初だけで、後は快楽が待ってるから」


 ・・・・逃げたい。


 そう思ったときはすでに遅く、気づいたら血だらけの地面に押し倒されていた。あ、血が気持ちいい。


 シエラの顔が近づいていって、やがて顔と顔の距離が1センチくらいになる。そしてゆっくりと顔が交差していって唇が首に触れる。


 「ん。・・・・ふぅ」


 とげの様な物が刺さる感触がした。少しの痛みと共に自分の中の何かが相手の中に入って行くような不思議な感覚が俺を襲う。


 暫くするとシエラは牙を抜き、離れていく。


 自分の中の何かが抜けて行って少し寂しく感じる。物足りないような気がするのはきっと勘違いだ。寂しいという思いがそう錯覚させているだけだ。


 「・・・・【日光耐性】?・・・まさかあなた【陽光無視吸血鬼(デイウォーカー)】なの!?」


 シエラが珍しく声を荒げている。


「そうだけど?」


 そう言うとシエラはプルプルと震えだし、やがて頭を掻きむしり始めた。


 ビックリした。頭大丈夫かこいつ。


 「なんでこんな時に劣化スキルなの!?」


 ああ。そういう事ねさっきの発言から多分獲得したのは【日光耐性】ってやつだろう。本命は【直射日光無効】だったと。耐性でも獲得できただけいいと思うのだが。


 「はぁ。もういいよ。じゃ、行こうか」


 立ち直ったらしいシエラがそう切り出した。


 「魔族領?」


 「ううん。帝国アストルティアっていう人族領の大国よ」


 その答えは意外だった。てっきりすぐ帰るものだと思っていたから。


 「さて、ここで問題でーす。帝国アストルティアには何があるでしょう?」


 それが分からないんだが。


 「魔族領と繋がる転移陣とか?」


 「いやいや。転移って空間魔法よ?その魔法使えるのこの世界に何人いるか知ってる?」


 「確か5人?」


 「そう。しかもその中で転移を使えるのは三人。そんなのこの広い世界で探せると思う?」


 知らんがな。


 「じゃあ、何があるって言うんだよ」


 ちょっと投げやりに聞いてみる。するとシエラは機嫌がよくなった。どうやら優越感に浸ることが出来るのも嬉しいらしい。全くいい性格してるよ。


 「えー?そっかそっか。知らないんだー?」


 うざい。


 「じゃあ、答えを教えてあげる。正解はダンジョンだよ!」

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