表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/165

85 変態だった



その衝撃は驚くほど大きく、俺はなすすべもなく吹き飛ばされた。大通りの方まで転がり、最後に壁に激突することで停止した。

背中がどくどくと痛みを訴えてくる。


「ててて、あー服が。今更か」


一応【危機察知】に反応した瞬間に“濃化”“薄化”を使って鬼化したから【高速再生】で背中は治ると思うけど、血を“気化”させて【肉体改造】で止血しておく。


『凪!大丈夫なの?』

『ああ、服が汚れたけどそれ以外は何とか』

『そうよね』


パルが心配してくれたと思ったらどうやら単なる確認だったらしい。


『うっわマスター【危機察知】発動してるじゃないですかぁ。それなのに?先程【空間把握】で見てた相手に?不意打ちを食らった??ぷっ』


【鑑定】(かんていさん)はここぞとばかりにおちょくってくる。こいつ早く体手に入れてくれないかな?


それにしてもやっぱり奇襲してきたのはさっき見ていた怪しい二人組だったのか。どうやって移動したんだか。ふと【空間把握】で調べてみると奇襲してきたのはその片割れの方だった。


『なぎなぎ、なんかねそこがね、ぱかってね、すんごいの!』


ソラはもうなんかね、その汚れなきまま大きくなって欲しいね。


『ね、ねぇ凪。わ、私は?』

『?何のこと?』

『む。知らないわよ!』


一体なんだっていうんだ。あ、読心?懐かしいなおい。


『ソラちゃんの言う「ぱかっ」は空間の裂けた擬音じゃないでしょうか?』


おちょくるのに飽きた【鑑定】(かんていさん)が考察を述べる。確かにその可能性はあるな。


『あ、一応言っておくけど、そこに変態が行ったから気をつけてよ』


怒ってるんだろうけどそうやって忠告してくれるなんて、やっぱりパルはパルだな。


『ちょっと、それどういう意味よ?』


おっといけない。読心なんて久しぶりすぎて思考が。


それにしても変態って。


「吸血鬼が何のためにこんなところにいるのか聞かせてもらおうか」


頭の上から誰かの声が聞こえる。襲撃者さんから来てくれたようだ。その相手の方に顔を向けると俺の思考回路は停止した。


どうしようもなく、変態だった。


胸元や腰回りが強調された薄緑色のもう服とはいえないようなエッチなものをまとった、ボンッキュッボンッなグラマラスな女性が話しかけて来たのだ。そこまでならまだいいがその顔はアニメとかで銀行強盗が使っていそうなマスクに覆われていて、それだけ聞いたら正義のヒーローっぽいことを言っているのだ。

一周回って自分の頭の心配をしても仕方がないと思う。


「え〜と、物見遊山?」

「あくまで誤魔化すつもりね」


取り敢えず質問の答えを素直に言ったら嘘だって言われたんだけど。何言ってんのこの人。


「なら、吐かせてあげる【衝撃風】


それはもう大きな風の塊が向かって来た。それに見覚えがある。エイリャやレティさんが使っていた風魔法(・・)だ。詠唱っていつしてた?


「無詠唱?え?」


驚きすぎて変な口調になってしまった。


『【詠唱破棄】、又は直接魔法陣を作ったんでしょうね。もし【詠唱破棄】なら・・・』

『考察はいいから早く【鑑定】してよ。そしたらどっちかわかるじゃん』

『それができないんですよね。こいつも【鑑定遮断】持ってるみたいで』


地味にうざいスキルだよね。【偽装】とどっちが嫌かと言われたら【偽装】の方だけど。

取り敢えず回避優先で。


【衝撃風】が何個も飛んでくる。風の塊は大きく、その隙間は小さいので全て避けるのは無理だった。右肩に着弾した【衝撃風】は右腕もろとももぎ取っていった。


「威力高っ」


紅の液が舞う。しかしそれも一瞬のことで、すぐに“気化”されて空気に溶けた。腕は部位欠損レベルなので、治るのは遅いだろう。更に追加の【衝撃風】が飛んできたので【肉体改造】で傷口だけ塞いで回避に専念する。

治るよね?


バランスを崩し、また着弾したが、さっきの二の舞にならないように今度は【鱗】で補強した。鱗がえぐれるがまた生やせばいいので問題ない。


怒涛の攻撃がやんだときに会話を試みる。


「ちょっと、ワタクシはただ見学してただけなんだけど?いきなり魔法使ってくるなんてヒドクナイ?」


口調がおかしいのはキャラ付けだ。姿が変わる能力を持っているというのは結構大きなアドバンテージだと思う。でも変装していないときに普通の口調だと男だとバレるので、完璧に正体不明にするためにこの口調を考えてたのだ。


「酷い?貴方たちの方が酷いことをしているという自覚がないのね。魔王に組する種は見つけた瞬間に討伐対象になる。それが人間社会(ここ)のルールよ」


ですよね。人族からしたら確かにその通り。だけど何人かは人族と共存を望んでいると思うんだよね。


「ふ〜ん。じゃ、しゃーないか」

「っ!・・・へぇ」


意味ないかなと思いつつ【威圧】を使ってみたのだけど・・・格上でも感じるくらいはするのかな?


俺はニヤリとできるだけ不適に微笑んだ。


「殺し合い、しましょ?」


まぁ、普通に笑っているようにしか見えないだろうけどね。

84に【危機察知】の描写を追加しました。

83にシエラとの約束の描写を追加しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ