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94割くらいしか思ってないし!

すみません。遅れました。

「というわけなんだけど魔王軍に来てくれないかな?」


 説明が終わった後、シエラは俺にそう言ってきた。


 まぁそりゃあ俺は一応勇者に対抗するために呼ばれたらしいから誘うのは当たり前だよな。


 「良いけど」


 「そう。やっぱり仲間と戦うなんて耐えら・・・・え?」


 さっきの王みたいに逃げられない策を持っているかもしれないし、魔王なんだから最悪命のやり取りになってもおかしくないし。


 「ちょっと待って。あなた本気?仲間と戦うことになるんだよ?」


 「そっちこそ何言ってるか分からないな。そちらから勧誘してきたんだろ」


 「いや、確かにそうだよ。でもさ普通友達とかと戦うなんて嫌とか思ったりしない?」


 「確かに思う。だがなさすがにずっとここに居るとか耐えられないだろ。そして俺はお前を見たとき勇者じゃ勝てないって思ってしまったからな。ここから出れるんならそれは願っても無い事だ」


 「あっさり仲間を見捨てるのね。でもそれでも仲間と戦う理由としては弱い気が・・・」


 「まだ続きがある。もしもクラスの奴らと戦う事になって勝ったら捕虜として生かすことも出来るだろ?」


 はっきり言ってこいつが率いる魔王軍に勇者たちが勝つことなんて想像が出来ない。戦争になれば確実に殺されるだろう。


 だが俺が魔王軍に入ればどうだ?地位を上げる必要はあるが出来るだけ殺さず、捕虜として捉える。そういう事も出来なくは無いんじゃないか?


 まあ、出来なくても最悪夕と霜月さんだけは助けるかな。他の奴らはついでだ。


 「あぁ、そゆこと。それなら理由にはなるね。それじゃあ」


 「まだ待って。さらに条件がある」


 俺は自己完結してさっさと帰ろうとしている魔王に無茶ぶりをかます。


 「条件?何?」


 「出来る限り自由な時間がほしい」


 「は?」


 シエラの反応は想像していた通りだ。


 人材が足りないからわざわざ召喚したのに『自由な時間が欲しい』だ?遊ばせている時間なんかないに決まっている。


 「君は調子にでも乗っているのかな?」


 その言葉には怒気が含まれており、さらに【威圧】がオンになったのか心の底から恐怖がこみあげてくる。


 「いいや。調子に乗っているつもりはない。まずは話を聞け」


 「良いだろう。だが少しでも調子に乗っていると思ったら直ぐに殺す」


 怖いわー。これが魔王の本気というやつなのかな。いや、まだ本気じゃないな。なんとなくそんな気がする。


 とりあえずここは魔王に分かったと言う事を示すために「了解」と言っておく。すると【威圧】が切れたのか少し楽になる。


 「まず、自由な時間が欲しいというのは遊びとかそういうのじゃない」


 すると魔王は本当か?という訝しげな視線で見てくる。


 失礼な!そんな事・・・・4割くらいしか思ってないし!


 「戦闘技術を学ぶために欲しい時間の事だ。もっと簡単に言えば魔法学園に行く時間が欲しい」


 魔法オボエタイ学園イキタイ。


 実際、この脱獄の半分くらいはその為だ。


 「分かった。純粋に腕を上げたいという意味なら私は否定しないよ。その代り緊急事態の時はすっ飛んできてね」


 俺は首を縦に振ることでそれに応じる。


 「よしじゃあ行こうか」


 そういえばどうやってここから出るんだろう?


 そう思っていたらシエラが鉄格子に手をかけた。


 グギギギギギィィィィィ


 鉄格子が曲がって隙間が人一人入れるぐらいの大きさになった。


 うん。魔王だしこれぐらい出来て当然だよね。





 で、シエラに連れられてやって来ました外。


 ここは中庭だろうか?きれいな花が月明かりに照らされて、なかなかいい雰囲気を醸し出している。


 ダダダダダダダダダッ


 久しぶりの(まだ一日たっていないからそこまで時間は経過していないが)外の空気を堪能していたらあわただしく走る音が聞こえてきた。


 どうやら見張りをしていたらしい兵士達らしい。みんな同じ鎧を着ていて統率もしっかりされており、瞬く間に周囲を囲まれてしまった。


 「止まれ!無駄な抵抗は止めてとっとと投降しろ!」


 昼に俺を捕まえた隊長格の兵とは違うが間違いなくこの兵の中では一番強いであろう兵士がそう言ってきた。


 対する魔王はそんなの興味ないといったような感じで何やら考え事をしている。


 「よし。折角だから吸血鬼の戦い方というのを教えてあげる」


 そう言ってシエラは自分の左手親指を嚙んだ。血がどくどくと流れる。


 そして俺は一瞬でその血に釘付けになる。何故だか分からない。牙の奥が熱くなる。


 シエラはそれに気づく事無く、血の出ている左手の人差し指と親指を立てて兵の一人に向ける。いわゆる銃の形だ。


 「【血液凝固】銃弾(ブレット)


 瞬間血が人差し指の先で銃弾の形に固まる。そしてその銃弾は真っ直ぐに兵の身体に飛来する。


 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 兵の悲鳴が響く。見ると右腕に先ほどの銃弾が当たったのが分かった。その腕は血だらけだ。


 心臓がドクンとなる。まただ。熱い。欲しい。?何を求めている?


 「【血液凝固】針山(ニードル)連鎖(ラッシュ)


 今度は兵の右腕の血が針となって隣の兵を貫く。そしてその兵から出た血が固まり、またその隣の兵に突き刺さる。その循環。


 血が飛び出るたびに心臓が脈を打つ。「これが吸血鬼の固有スキル【血液凝固】。自分の血液と相手の血液を望む形に固める能力。そしてこれが・・・・」


 その時、シエラの背後から一人の兵が姿を現す。そしてその兵が剣を振り落とす。が、それは空を斬る。


 いや、正確には違う。斬られる瞬間シエラの身体は黒い霧となった。兵が斬ったのはその霧だ。


 そしてその霧の中から赤い目をした何かが飛び出し兵の背後に回った。その何かからまた霧が湧き出し、人の形をかたどっていく。


 兵の後ろに現れたのはシエラだった。シエラはそのまま兵に蹴りを食らわせる。その兵はというと違う兵から突き出した針に貫かれていた。


 「そしてこれが【蝙蝠化】」


 鮮やかな花々は鮮血で彩られ、兵は血の針で貫かれたまま血を流している。


 戦いは終わった。だが俺の異変はまだ終わっていない。


 牙が熱い。喉が焼ける。欲しい。欲しい。欲しい。何が?血が欲しい。そうか。これが


吸血衝動。

ルビ振りがしっかりできていなかったので直しました。

ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

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