誰にも言わないって♪
小説のことで焦りを感じたままバイト服に着替えていると
そこに現れたのは・・・?
「いって~……何も殴ることないでしょ、にがっちゃ~ん」
痛そうに顔をさすっている輝流さんがそういっても、膨らませた頬をなおさない。
私は彼の言葉を聞かないように、ふいっと顔をそらした。
「あれは事故なんだって。そう怒んないでよ~」
「事故でも許すことはできません」
「えー、そんな~! 王様からもなんか言ってよ~」
王様と呼ばれた神宮さんは、コーヒー豆を調達しながら怪訝そうに顔をしかめた。
「水瀬が来るにあたって更衣室の時間配分ずらしてなかったからな……まぁ……日頃の行いが悪いからだ、少しは反省しろ。あと王様って呼ぶな」
神宮さんはそう言うと、机に置いてあったコップや皿を直してゆく。
それを眺めていた私に輝流さんは、そういえばさーと口を開き私の耳元でポツリ。
「にがっちゃんって~……結構胸あるんだね~」
!!!!???
「見たんですか!?」
「大丈夫大丈夫~オレ口固いし、誰にも言わないって♪」
「そういう問題じゃないんですけど!」
不覚……! よりにもよってこんな人に見られるなんて……
輝流さんは苦手だ。隙がないし、話せば話すほど弱みを握られている気がする。
この人と仕事なんて、やりたくなかったのに!
「お前らなぁ、それくらいにしとけ」
「だってさぁ客来なさ過ぎて暇なんだも~ん」
そういいながら、輝流さんはカウンター席にもたれる。
彼の言う通り、現在喫茶店にいるのは私達三人だけ。
神宮さんいわく、この時間帯はあまり人が来ないのだそう。
輝流さんは回転イスに座りながらぐるぐる回ってるし、神宮さんも何かの雑誌をぱらぱらめくっている。
「にがっちゃ~ん、なんか面白いことな~い?」
「ありません。というか私に求めないでください」
「つまんないのぉ~王様~課題しててもい~い?」
輝流さんはだらしない格好で、いかにもくつろいでいた。
それを見ようとせず、神宮さんは平然とした態度で言った。
「勝手にしろ。消しくずとか自分で捨てろよ」
「へ~い」
「この時間しか無理そうだな……わりぃ、ちょっくら出てくる」
!?
「何だ、水瀬。鳩が豆鉄砲くらったような顔して」
「いえ、あの……今から……ですか?」
「客がいねぇこの時間がチャンスだからな。すぐ戻る、じゃあな」
えぇぇぇぇ!? ちょ、マジで~!?
ってことは神宮さんが戻るまで、輝流さんと二人きりってこと!?
そんなのってあり!?
(つづく!!)
前回が前回だったので、説得力はないとは思いますが
輝流は変態ではありません。要注意です
これを投稿するまで、波乱万丈のドラマがありました。
データを移すのを忘れ、友達に貸してしまっていたのです。
結構焦りましたが、その友達となかなか連絡つかなくて・・・
間に合って一安心、ってやつですね。
次回、どうなる如月!