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んじゃま、始めるで! 如月!

個性的なメンバーとともに、如月のバイト生活がようやく幕を開ける?

「よし、全員そろったな」


神宮さんは仁王立ちしながら、私らを見渡しながら言った。

私の隣には制服を身にまとった三人の先輩がいる。


「今日は初出勤の水瀬のオリエンテーションをふまえてやる。いつもどおりにやれ。俺は昨日誰かさんがサボった皿洗いをしとく」


そういえば昨日、美宇さんしかいなかったような……

神宮さんは言うが否や、さっさと調理室に行ってしまった。

正直いてほしかったんだけど、そううまくいかないか。


「よし! んじゃま、始めるで! 如月! まずは基本中の基本! 挨拶からや!」


え~、そっからするの~……

挨拶なんて日本人誰も知ってるんだから、いちいち教えなくてもいいのに。


「まず客が来たらベルが鳴るんや。それを合図として、いらっしゃいませ~と言う! はい、リピートアフターミー?」


「い、いらっしゃいませ?」


「声が小さい! しかも疑問形になっとる! そんなんじゃ接客できへんで!」


うえぇぇぇぇ……厳しい……

何で私だけこんな目に……


「頑張ってください、如月さん! 応援してます!」


うう……応援なんかしないで、助けてほしいんですけど……


「よ~し、にがっちゃん。チャンスをあげよう」


「チャンス、ですか?」


「そ♪ ミュウミュウから助けてあげるから、メアド頂戴♪」


「結構ですっ!」


私としたことが、ペースに乗せられるところだった……

油断大敵、やっぱりこの人嫌い!


「あーもーらちがあかんわ! せや、もうすぐ開店やろ? うちらの様子をしっかり見とき? 天衣、店開けてええで~」


「は~い、わかりました~」


天衣さんはそう言いながら、外へ出る。

作業を終えたのか、数分もかからないうちに帰ってきた。

しばらくすると、喫茶店に一人の男性が入ってきた。


「いらっしゃいませ~!」


三人の声が、息ぴったりに重なる。

男性が真ん中のテーブルに座ると、すかさず美宇さんがかけよった。


「ご注文は何にしますか?」


「カプチーノで」


「かしこまりました。しばらくお待ち下さい」


少しなまったような敬語で彼女はそういうと、誇らしげな顔をして帰ってきた。


「どうや、ざっとこんなかんじや!」


「美宇ちゃん、さすがです~。いつ見てもかっこいいですね~」


「褒めすぎや。マスター、カプチーノ入ったで~」


「おう、今行く」


向こうの方から、神宮さんが小走りで戻ってくる。

コーヒーマシーン(美宇さん達曰く、ハンドミルというらしい)を使いながら豆をたいたりする様子を見て、私は興奮状態だった。

ああもう。どっからどう見てもあきお様しか見えない!


「ほれ、出来たぞ。杉本、出番だ」


「お、待ってました!」


できたてほやほやのカプチーノを入れたコップをお盆にのせると、輝流さんは私にウインクしてみせた。


「じゃ、先輩として一肌脱ぐか!」


彼はそういって、男性のいる机にコーヒーを静かに置く。

その時の輝流さんはどことなく男らしかった。


「お待たせしました、カプチーノです。ごゆっくりどうぞ」


へ~……思ったより真面目な部分もあるのかな。


「にがっちゃ~ん、オレに惚れ直した?」


「え?」


「じゃあメアドをくんない? 赤外線でいいからさ~」


前言撤回。ダメじゃん、この人。

こんな人がよく雇われたな。神宮さんの意図が読めない。


「あ、そろそろだね。今度はあまちゃんの出番だよっ♪」


「はい、いってきます!」


男性がレジの方へ歩いて来るのを見て、さっと天衣さんは移動する。


「お会計ですか? 百二十円になります。ありがとうございました~」


そう言ってにっこりと笑うのを、私は思わず口をぽかんと開けていた。

これが、従業員達の実力!

とてもではないが、追い付けない!


「まあいざというときはまじめだからな、あいつら。とりあえずこれ渡しとく」


神宮さんがそう言いながら、私に一枚の紙を渡す。

そこに書いてあったのは、ここのメニューだった。


「それ覚えてこい。まずはそれが課題な」


「え、これ全部ですか?!」


「注文とるやつがメニュー覚えてなくてどうする」


そりゃそうですけど~……

昨日の晩ご飯も覚えてない私が、こんなに覚えられるわけがない!

っていうか! 明日から学校なんですけど!?

神宮さんって、見た目によらず意地悪! でもそこがいい!


「まあこういうのは慣れるのが大事やで。きばってき?」


「私達も如月さんのために、出来るだけサポートします!」


「オレもまだメニュー覚えきれてないから、何とかなるよ~」


ダメだ、この三人が先輩に見えない……

もらったメニューを見ながら、私はふうっと一息ついた。


(つづく!)

個性的、といってますが私の中では遊部面子が一番個性的だと思っているので

それには劣っていると思います。はい。


言い忘れていましたが、私も主人公と同じように新生活を送っています。

自己紹介をするとき、「アニメが好きです」ということも暴露しているんですが

「っぽいね!」と言われることが多いです。

さて、これは褒め言葉なんでしょうか・・・

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