今から集まる従業員は……厄介だ
晴れてルナティックハウスで
バイトをすることになった如月は
明王に後日来てほしいと言われて・・・
雲一つない、見事な晴天。
まるで私の心をうつしているようにも見える。
「よっしゃ! 行くぞ、私!」
自分の頬をパンと叩きながら、ようやく動き出した。
神宮さんに雇われた翌日はちょうど土曜日だった。
文芸部には所属しているが本格的な活動はしていないため、土日は休みである。
つ・ま・り!
一日中あきお様改め、神宮さんといれるのである!
しっかしまあ偶然にもほどがあるようなぁ。
容姿や声だけならまだしも、名前まで一緒なんて。
もはや私に「結婚しなさい」と言ってるようなものでしょ!
よぉし、やってやる!
小説家になって、あの人と結婚してやるんだ!
「おはようございま~す!」
喫茶店のドアを開けながら、挨拶してみる。
そこには長い髪を一つに結びなおしている、神宮さんがいた。
「ん? ああ、お前か。早いな」
うぉぉぉぉ! イケメンですぅ、神宮さーーん!
もうどさくさまぎれにあきお様って呼びたい!
髪を伸ばしてもくくっても、やばいくらいかっこいいです!!
「何か言いたそうだな」
「え? な、なんでもないです」
「一応忠告しとくぞ。今から集まる従業員は……厄介だ」
厄介? それってどういう意味だろう。
何か問題でもあるってことかな?
そんな考えを巡らせている中、喫茶店のドアが開いた。
「おっはようさ~ん! お、マスター早かったんやな」
「おはようございます、マスターさん」
「チィ~ッス、マスター。三日ぶり~♪」
入ってきたのは二人の女性と、一人の男性だった。
神宮さんは三人を見渡しながら、私を紹介してくれた。
「今日からアルバイトすることになった奴だ。ほれ、あいさつ」
「は、初めまして! 水瀬です! 今日からよろしくお願いします!」
私がすばやく頭を下げると、一人の女性が近づいてきた。
「あ~! あんた、昨日のお客さんやろ?!」
「あ……あなたは……」
「途中でマスターいなくなったから怪しい思うてたけど、そういうことか~。うちは鈴木美宇。呼び方は自由でええで」
昨日見たことある女性―美宇さんはにっこり笑う。
こういう人っていいな。親近感わくから、すぐ仲良くなれそう。
「あなたが新人さんですか~私桜庭天衣と申します。困ったことがあったら、何でも言ってください」
天衣と名乗った女性はほんわかしていて、見てるこっちがやすらいでしまう。
なんだか、ほのぼのしてるなぁ。
「ねぇねぇ君どこ高? 何年生?」
「め、冥皇ですけど……」
「んじゃ大学生か~。あ、オレ杉本輝流! よかったらメアド頂戴♪」
な、なんだこいつ!
見た目や性格ともにチャラい!
つか初対面の人にメアド聞くとか、普通の人間としてどうよ!
こういう人とは絶対仲良くできない!
「んで? 君、下の方の名前は?」
「え」
「水瀬って名字っしょ? 名前は何なの?」
思わずとっさに身構えてしまう自分がいる。
だが相手は先輩になる人。
ここで問題を起こせば、私の株が下がる!
何より、神宮さんの私のイメージが!!
「………ぎ」
「ん?」
「如月、です」
私が言うと、気まずい沈黙が流れる。
従業員の人達が顔を見合わせた。
すると輝流さんが、すぐに口を開いた。
「如月……二月か……」
「へ?」
「じゃああだ名はにがっちゃんだね!」
「なんですか、そのあだ名は!」
思い切り怒鳴ったというのに、平然とした顔で輝流さんはにこやかに言った。
「だって如月って暦で二月でしょ? だからにがっちゃん。ぴったりじゃん」
「意味分かりません! 普通に呼んでください!」
「せやせや、普通が一番やで。な? にがっちゃん♪」
「あなたも呼んでるじゃないですか!」
「よかったですね~仲良しさんになれて」
「どこがですか!」
こんなに突っ込んだのは、初めてかもしれない。
普通そうだと思っていた矢先がこれか!
にがっちゃんって何!?
この人達、普通じゃない!
「言ったろ、厄介だって」
神宮さんのため息交じりな声が、後ろから聞こえる。
不安な思いまま、私はガクッとうなだれたのだった。
(つづく!)
今回出てきたメンバーが、
主なレギュラーメンバーになります。
ちなみにみんなその名前で変換しても、
出てきてくれません。
天衣にいたっては、「てん」「い」ですよ。
原型どこ行ったって感じですよね。
早いもので四月です。新生活を送っている皆さん、
まずは新しい環境に慣れるよう
頑張っていきましょう♪




