表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

力になりたいです!

明王との恋愛成就のため、やってきたのは日向神社。

そこにはいつもとは違う美宇がいて、なぜか一緒に雨宿りをすることに・・・


第一幕、完結です!

「雨……やみませんね」


凪さんがぼそりとつぶやきながら、空を見上げる。

私は小さくそうですねと相槌した。

秋とはいえ、まだ梅雨明けはしていないらしい。

この時期になると台風もあきらめずにやってくるのだから、厄介なものだ。

美宇さんから貸してもらったタオルで髪の毛を拭きながら私は口を開いた。


「えっと、凪さんだっけ。美宇さんとどんな関係なんですか?」


「敬語じゃなくていいですよ。僕、まだ中三なんで」


中学生でその身長だと!? なんてうらやましい!

これだから最近の若いもんは!


「美宇姉は僕にとって、本当のお姉さんみたいな人です。美宇姉、いつも僕を見守ってくれてありがと」


「なっ、何をいきなり言うん!? これくらいたいしたことないで!」


「本当の……? じゃあ血がつながってないんですか?」


私が言うと、彼女は一瞬だけつらそうな顔を浮かべた。

だがそれはほんの一瞬で、すぐに彼女は笑った。


「せっかくの機会や! この際やし、全部教えたる!」


いつもの笑みなはずなのに違和感があるのは、さっきの表情のせいだろうか。

美宇さんは凪君に部屋に行くとだけ伝え、私を彼女の部屋に連れて行ってくれた。

潔癖症なためか見事にキレイで、教科書とかも美しいくらい見た目が良かった。


「ちょっと狭いけど、ここでええか?」


「あ、はい。お気になさらずに」


「そっか。さてとっ、どっからはなしゃあええんやろうなあ」


また美宇さんの表情が暗くなる。

天衣さんの時と同じだ。彼女のこういう面を見ると、胸が痛いくらい締め付けられる。


「うち、両親いないねん」


「えっ!?」


「小学の頃に事故で死んでもうてなあ」


さらりと言えないことを軽くしかも笑顔で言うのは、彼女の強がりかもしれない。

だって親が死んで悲しまないわけないし、私だったら生きる気力なくして自殺しかける!

それに……

さっきここに入った時見えたんだよね。

親子三人で写った写真が机にたてられているのが。


「んで、母の妹にあたるこの家に引き取られたんや。そこで凪とも会った。あいつは本当にうちの弟みたいでな」


確かに、なんだかほんわかしてたな。

それだけ一緒にいたから二人の息がぴったり合うんだろうと思ったが、私には他にも理由があるように思えた。


「それだけ……ですか?」


「ん?」


「他にも、何かあったんじゃないかなーと」


私が言うと、彼女はまたにかりと笑った。


「勘だけはええみたいやな。うちが小学卒業するくらいん時、ちょうどこのくらいの雨が降っとった」


そういうと美宇さんの目線は、上空から降ってくる雨に向かれた。

雨はやむことを知らず、延々と降り続いた。


「学校帰りにあやまって川に落ちてしもうたんや。激流の中溺れるうちを助けるように、お養父さんとお養母さんが亡くなった」


親代わりも亡くなっ……


「凪には申し訳ないことしたわ。そっからはここのバイトの人と一緒に神社を守っとる。どや、うち結構頑張ってんやで」


本当です、美宇さん。

あなた達……ルナティックハウスの従業員達はことごとく尊敬する。

そりゃふざけたり意味が分からないことばっかり言うけど、一人一人背負っているものが違う。

これが、生きるってことなのかな。


「どうした、如月?」


「いえ……すごいですね、美宇さんは」


「へっへ~ん! 尊敬するやろ!?」


「まあまあです」


「なんでまあまあなんや!」


いつものつっこみにくすりと笑う。

雨空に少しずつ光が差し込んでいるようにもみえた。


「そういや如月、なんでここにきたん?」


突拍子にきかれ私は戸惑った。

手で握っていた袋に力がこもる。

小説のことなんて到底言えない私は、恋愛に話を進めようとした。


「えっと、神宮さんの恋愛発展……ってとこですね」


「なら恋愛成就の方がよかったんちゃう? 今ならタダでつけとくで」


そういう彼女の学校バックには、ピンク色の恋愛成就お守りがついていた。

美宇さんが、恋愛成就? なんか変だな。

もしかして喫茶店でお泊り会した、あの時の相手か!?


「やっぱり美宇さんも、好きな人いるんですね!?」


「な、なんや急に!」


「教えてください! いつも助けてもらってるし、力になりたいです!」


「目を輝かせていうとこやないやろ! 別に誰でもええやろうが!」


美宇さんったら、本当に好きなんだな。その人のこと。

顔が真っ赤っかだ。

こういう見たことのない表情を見るのって、新鮮でいいなあ。


「……一応、凪やけど」


「やっぱり! そんな気がしました! いつからですか?」


「うちが高校の時……? え、ええやろ! この話は!」


「凪君、かわいいですよね。しっかりしてますし背高いし」


「やめてー! それ以上凪の話しないでー! はずか死ぬー!!」


恥ずかしさのせいなのか、関西弁じゃなくなってるし。

まったく、こういう時は女の子らしいのに。

恋愛をすると変わるっていうけど、私は変わったのかな?


「ほら美宇さん、雨やんでますよ」


私が空を指さしながら言うと、彼女はやっと我に返った。

いつの間にか空には青空が広がっていた。

さっきまでの雨がうそのようで、さんさんと太陽が照っている。


「美宇姉、雨やんだよ。掃除しよ」


「な、凪っ! わ、分かった。今行く」


「じゃあ私も帰りますね」


「気を付けてお帰りください」


「如月! 覚えとけよ! 今日のこと、バイトでこってりしばいたるからな!」


なんだかなあ……

苦笑いを浮かべながら、私はゆっくり歩いてゆく。

秋のさわやかな風が私の髪をそっとなびかせた。


(第二幕へつづく!)

急に第一幕が終わり、という感じになってしまって

ちょっと申し訳ないです。

これで美宇ちゃんも攻略ですね。かわいい美宇ちゃんも

意外性があって好きなんですよ。


というわけで次回から第二幕!

残る一人の秘密に迫るとこから始まります!

七月からスタート!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ