これに限るで!
楽しかった夏休みも終わり、舞台は秋へ。
第一幕、最後の砦は関西弁のあの子!!
秋。
季節はあっという間に過ぎてしまう。
時にそれは残酷で、私の心を掻き立てる。
来年三月に行われる、文芸部一の行事・小説コンクール。
そのプロットを提出すべく、先生から言われていた。
なのにだ!
あまりにも全然進まなすぎる!
なぜだ、なぜこんなに浮かばない!
これはあれか? バイトを始めたせいなのか!?
否、神宮さんは悪くない!
やる気がない私自身がいけないんだ!
このままじゃあかん!
ネタが降らないんじゃ、話にさえならないやん!
と、いうことで!
私は現在、日向神社に来ている。
なぜ神社!? と思った人のために私が説明しよう。
ここ日向神社は、願い事をすれば必ず成就するという神様が宿っているらしい(神様がなんて名前かは知らないけど)
恋愛から勉強まで、今までも様々な願いを叶えてもらったと聞いている。
ってことで不本意ではあるが、本気で神頼みしようじゃないの!
財布から五円を取り出し、賽銭箱に投げ入れる。
鐘を鳴らし、大きく二回手をたたく。
「ネタが浮かびますよーに!」
声を上げ、よしと意気込む。
なんだかいけそうな気がしてきたぞ!
こうなったらとことん神頼みや!
ってことで……なんかよさそうなお守りないかな~と探していたその時だった。
「いらっしゃい。お客さん、何をお探しで?」
ん? 何だが聞き覚えがある声な気がするんだが……
そう思い、おそるおそる顔を上げると……
「ん? なんやお前っ! 如月やん!」
ご存知、ルナティックハウスの従業員・美宇さんだった!
「美宇さん! なんですか! その格好!」
私の大声が空高く響く。
彼女の格好は着物ようなもので、私から見るとまるでコスプレのようだった。
「何って、巫女に決まっとるやん。神社はこれに限るで!」
「巫女……? っていうかなんで美宇さんがここに?」
半信半疑で聞くと、彼女は一つのお守りを袋に入れながらにんまり笑った。
「うちここでバイトさせてもらってんねん。世話になっとるしな。ハイ、成就お守り百二十円やで」
「え、あ~ありがとうございます……じゃなくて! 世話になってるってどういう……」
「あ、いた。美宇姉」
私が全部言い終わる前に、彼女を呼ぶ声が聞こえた。
凛としたキレイな声に敏感に反応した様子の美宇さんは、私が渡したお金をちゃらりと落とした。
「な……凪……」
そこにいたのはその声の持ち主にぴったりな美形の少年だった。
透き通った水色の紙に、シュッとした顔……例えるなら、そう!
「天使みたいな女の子……」
「聞こえてますよ、お客さん」
はっ! 私としたことがつい口に……
しっかしまあキレイな人。かわいい系男子とは、まさに彼そのものだな!
「初めまして。ここの長男の、日向凪って言います」
「こ、こんにちは。美宇さんと同じバイトをしている、水瀬如月です」
会釈しながら、彼を仰ぎ見る。
ここのってことは、神社の息子さんかな?
美宇姉って呼んでたから、弟さん?
でもそんなに似ているとは……
「あれ? 美宇姉、背のびた? 僕に追いついてきてる」
「ま、まあな! まだまだ成長期やし! 凪の背に追いつくのなんて、あっという間やで!」
「そうだね、僕も負けてられないな」
ど、どうしよう。話に入っていけない。
くすくす笑う凪さんを見ている美宇さんのほっぺは、うっすら赤くなっているように見えた。
彼女の見慣れない表情に、心が揺さぶられる。
と、その時だった。
『ピチョンッ』
軽快な何かの音が、耳に届く。
まさかと思えば思うほど、体が動かなくなる。
ゆっ~くり顔を上げた瞬間、私の顔に大粒の雨が降り注いだ。
「あかん! こりゃ、ひどいな。如月、中に入れ! やむまでかくまったる!」
はい!?
(つづく!)
天衣、魁皇ときて、美宇ちゃんで一区切りって感じになっております。
あと一人は第二幕ですので、首をながあくして待っていてください笑
美宇ちゃんといえば関西弁ですが、彼女の存在があまりにも敵役にみえるせいで、
撫子出演のガーネットちゃんが関西弁になったという設定があります。
だってねえ、彼女めっちゃ敵役似合いそうじゃないですか・・・
次回、そんな美宇ちゃんの秘密解禁!




