筋金入りの変人だからな
せっかくのバイトにもかかわらず、一番苦手とする魁皇と輝流だけしかいない場に遭遇してしまった如月。
さらに輝流のせいで、魁皇と二人きりに!?
「……もうすぐ学校始まりますねー……」
「ああ」
「尾上さんは、宿題終わりましたか?」
「ああ」
「…………………」
だめだ! 会話が続かん!
輝流さんが休憩に入って一分はたったが、この状況から抜け出せない!
どどどどうしよう! 何を話せばいいの!?
ああもう! 早く輝流さん戻ってきて!
「そういやお前、名前なんだっけ」
唐突に言われたその一言に、むっとする。
会ってまだ二度目だとはいえ、名前さえ覚えてもらってないとは!
記憶力がない私でも覚えてるのに!
「水瀬如月です。忘れるなんてあんまりですよ」
「如月……だからにがっちゃんなのか」
まさかその確認のために聞いたのか!?
おのれ、輝流さんめ! だから如月って名前は嫌なんだ!
「あいつ、かなり変人だろ。メアド聞きまくったり、人に変なニックネームつけたり」
「まあ……最近は慣れちゃいましたけど、最初はかなり戸惑いましたね」
「昔からああなんだ。気悪くすんなよ、結構いい奴だし」
この言い分からすると、尾上さんは輝流さんのことを悪く思ってないのか?
なんという腐女子が萌える関係性!
属にいう、恋の一方通行じゃん!
「輝流さんのこと、ずいぶん評価してるんですね」
「まあな。高校からの付き合いだし、それに……」
「それに?」
「俺みたいなのとつるむぐらい、筋金入りの変人だからな」
俺みたいなのって、どういうことだろう。
聞きたくても尾上さんの横顔を見た途端、口が動かなくなった。
なんだか胸の中に、何かを秘めてるみたいで……
「ふっふっふ……どうやらオレの出番のようだね~」
うわっ! びっくりした!
休憩室に入っていた輝流さんが、ぬっと飛び出る。
彼は尾上さんの肩に腕をのせ、私に言った。
「にがっちゃんさ、尾上恒生って知ってる?」
「えっと……どこかで聞いたような……」
「連続殺人犯が四年越しにつかまったってニュース、あるじゃん?」
あ! 見たことある!
私がまだ高校入学したての頃に話題になった、連続殺人事件。
確かそれが四年かけて、犯人が逮捕されたって切った。
四年も逃げ惑ってたなんて、ある意味すごい犯人だと呆れつつ感心していたが……
「あれ、チューンのお兄さんなんだって」
!!??
「チューンのお兄さんが、連続殺人犯だったんだよ」
え? ちょ、マジっすか!
この人、そんな怖い人の弟なの!?
でも、何だろう……このかんじ……
「見損なっただろ、俺のこと」
「え?」
「昔からなんだ。兄貴が世間をにぎわすようなことをするのも、そのせいでクラスからのけ者扱いされるのも」
声が出ず、体が動かなくなる。
尾上さんの辛そうな横顔が、私の心を突き刺す。
「そんな俺に、何も気にせずつっかかってきたのがこいつだったんだよ」
こいつ―つまりは輝流さんのことを指し、彼はふっとため息をついた。
輝流さんは相変わらずの笑みで、ごまかすように言った。
「いやあ、そういうの全然知らなかったもんだからさ~同じ中学の子いなくて、たまたま名簿が近かったから宿題うつさせてもらったんだよ」
なんだか、分かる気がするなあ。
小説について本気で悩んでた時、そう思った。
多分輝流さんには、人をひき付ける何かがあるんだろうなって。
「それでも……輝流さんはいい人だと思います」
「にがっ、ちゃん?」
「尾上さんが言ってることが、少し分かるような気がして」
かすかに輝流さんの瞳が揺れた気がしたのは、気のせいだろうか。
彼はなぜか私の一言を気に、微動だにしなかった。
「あの、輝流さん?」
「へ? あ~ごめん、ぼーっとしてた」
「本当にそれだけかよ」
「チューン!!」
頭にはてなを浮かべたいくらい、事態がよく把握できない。
ただわかったのは、輝流さんの顔が少し赤いくらいで……
「そ、そうだ! せっかくだしここらで恋バナでもしようよ!」
!?
(つづく!!)
こうみえて彼が一番の苦労人でもあります。
ちなみに私はあっち方面で妄想するのが多いのですが、
カップリングの中でも魁輝が一番好きです。
響きもいいし、二人の信頼感がたまんないのなんの・・・
次回、男子と一緒に恋バナ!?




