宿題なんてすぐ終わるで!
数学のテストがさんざんだった如月は
明王の提案で、彼の自宅にお邪魔することに!?
電車がゆっくり駅にとまる。
私はおそるおそる電車から降りた。
こんな都会、一人で来たの初めて!
いつもは友達とかとばっかりだったのに!
そのせいで駅通り過ぎないか心配で、電車の中で寝れなかった!
都会慣れしてないって怖いなあ、とほほ……
「如月~如月~! お~い、こっちやで~」
聞きなれた声が聞こえる。
辺りを見渡すと、少し離れた場所に神宮さんを含めた喫茶店メンバーが全員いた。
「すみません。電車に乗るのが一本遅れてしまって」
「構わねぇよ、気にすんな」
はうわあ……! 神宮さん、マジ天使……❤
「にがっちゃん。なんで一本遅れたの?」
ぎくっ。
「え、えっと~……寝坊して……」
「本っ当に寝坊か~? 白状しろ、如月!」
い、言えない! 神宮さんの家に行くからって、洋服ギリギリまで迷ったなんて言えない!
「まあまあ美宇ちゃん、そのくらいに」
「何言うとるん、天衣! 遅れた奴には天罰をくださんと!」
「そういうものなんですかね~」
納得しちゃだめですよ、天衣さん!
「ごちゃごちゃ言ってねぇで行くぞ。こっちだ」
ふぅ、助かった。
というかあれだな。結局みんなで神宮さんの家に行くことになってるし。
天衣さんはまあいいとして、美宇さんはよほど宿題が終わってないんだろうなあ。
輝流さんは私と同じ目的みたいだけど。
彼が神宮さんと抱き着いた時、やっぱりBL最強! と思ったのは黙っておこう、うん。
「着いたぞ、ここだ」
うおっ!? でか!
意外とお金持ちだったりするんですか、神宮さん!
お坊ちゃまとしてふるまう神宮さん……うん、悪くないっ!
「ただいま。母さん、いるか?」
む? 母さん?
不思議に思っている矢先、玄関へ小走りでやってきたのは―!
「お帰りなさい……ってあらあら。こんにちは」
茶色の髪をハーフアップ状にまとめ、おしゃれな格好を身に包んだ女性が私達に微笑む。
あまりのきれいさに、私は見とれてしまった。
「こんなところまでご苦労様。初めまして、あきちゃんの母親の千鶴です。さ、上がって」
こっ、この人が神宮さんの母親!?
なんとまあ神宮さんに負けず劣らずの美形でいらっしゃる!
神宮さんの母・千鶴さんと神宮さんのお誘いにより、部屋へあがった。
家の中、広いなあ。
ここが神宮さんの部屋かあ。
「王様の部屋、シンプルだね~」
「本がたくさんあります~勉強家さんなんですね」
「褒めても何も出ねぇぞ」
そういう神宮さんはまんざらでもない様子で、少しだけ笑っていた。
しかし……見事にきれいだなあ。
まさに私の旦那にふさわしい!
「ムムム……埃一つつかへん」
「昨日大掃除したばっかだからな。残念だったな、鈴木」
「マスターの策士!」
美宇さんがタンスの上を指でなぞりながら、言う。
そんな光景を見ながら、神宮さんは真ん中に置いてあるテーブルに数学の教材を置いた。
「んじゃ、始めるぞ。水瀬と杉本はこっちに座れ」
え!? まさかの神宮さんの隣!?
どうしよう、耐えられるかなあ。
「では私達もしましょか。美宇ちゃん」
「マスタ~この本読んでもええか?」
何しに来たんだ、この人!
私の突っこみが聞こえたかのように、彼女はまあまあというように笑った。
「そんな顔すんなや。宿題なんてすぐ終わるで!」
うわ~……これ絶対最終日まで宿題やるパターンだろうなぁ。
「おっ! これほしかった新刊だ! ねえ王様、読んでい~い?」
「お前らは何しに来たんだ」
輝流さんまで……ダメだこりゃ。
すると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
神宮さんが返事すると、そこから千鶴さんが出てきた。
「勉強中ごめんね。ハイ、みんな。冷たい麦茶をどうぞ」
「お! ありがとうございます!」
「あきちゃんから話は聞いてるわ。大学で忙しいのに、バイトお疲れ様」
いえいえ、そんな……
こっちがお礼言いたいくらいで……
って、んん? あきちゃん? あきちゃんってまさか……
「王様ぁ、もしかしてお袋さんからあきちゃんって呼ばれてるの?」
「なんだよ、悪いか」
「まるで女みたいだな~って……イタイイタイ、こめかみぐりぐりしないで~」
神宮さんが輝流さんをしばいてるのを見ながら、私は苦笑いする。
あきちゃん、なんでかわいらしいニックネーム!
いやいや、そうじゃなくて!
私がそう考えている中、千鶴さんはくすりと笑った。
「みんな甘いもの好き? ケーキを焼こうかと思うんだけど」
「ケーキやとぉ! くうくう!」
「あ、良ければ私にも手伝わせてくださいませんか?」
ん?
「おい桜庭、余計な気遣いはいらねぇんだが」
「いいえ。いつもお世話になっちるので、このくらいはさせてください」
「しゃあないなあ。ほな、うちも加勢したる!」
!?
「み、美宇さん! 宿題はどうするんですか!」
「宿題なんてうつせばはよ終わるわ。腹が減っては戦はできん、ってな」
そりゃそうかもしれないけど……
この流れ的に私も行かないといけない気がするというか……。
私、料理店てんでダメなのに!
「如月さんは再テストもありますし、気になさらずに勉強を続けてください」
「がんばりな~!」
ああ! ちょっと~!
ダメだ……あの二人といるとペースが乱されてしょうがない……
「ったくあいつらは……仕方ねぇ、じゃあ始めるぞ。あれ、杉本は?」
言われてみれば、さっきから声がしないなあ。
ちらりと下から覗いてみると、肘を立ててぐーすか寝ている輝流さんの姿があった。
「ね……寝てます」
「こいつまじめに勉強する気あんのかよ。ま、一人に教えるのなら気が楽でいいか」
ん? 一人?
自分の状況に気付いて、体の先まで暑くなる。
顔を手で覆い返す。
こここここれって、神宮さんと二人きりじゃないですか!!!
どどどどどどうしよう! HELP、ME!
(つづく!!!)
こういう人、必ずいますよね。
宿題をやろうにも、まったく手につかない人。
ちなみに私は嫌いな教科は答え丸写しにしていた記憶が・・・
おっと、誰か来たみたいです笑
次回、如月大ピンチ!!




