一目ぼれしました!
小説に行き詰った主人公がたどり着いたのは、
何もかも理想な王子様が働いている喫茶店だった!
「え? 働く? ここで?」
半信半疑な声が聞こえ、はっと我に返る。
唐突すぎる私の言動は彼を戸惑わせていた。
コーヒーを入れようとした手を止め、怪訝そうに私を見つめる。
「あ、えっと突然すみません……アルバイト募集って書いてあったので、つい……」
なんつう言い訳だと我ながら思う。
彼は私が言っていることが分かったかのように後ろを向くと、「ああ」と小さく言った。
「そういやまだ貼ってたままだったな……まあ客いねぇしちょうどいいか」
独り言をぶつぶつ言う姿も、たまらなくあきお様そっくりだった。
ああ、相変わらずお美しい姿で……
「おい鈴木。用ができたから、今日は終わりでいいぞ」
「ほいほーい」
奥で掃除をしていた少女が、返事する。
あきお様に似た彼は私に「来い」とだけ言い、カウンターの中のドアへと入っていった。
そこはまるで休憩所のようで、大きなソファが二つならんでいる。
「とりあえず名前や住所、生年月日と学校、取得資格とかあったら書け。終わったら言えよ」
急にぶっきらぼうな言い方になったのに戸惑う半面、嬉しくもある。
このそっけないところそのものが、あきお様なんだもんなぁ。
おっと、いかんいかん。みとれている暇はないんだった。
「書きました」
「おう、見せろ」
紙を渡すと、彼はしげしげとそれを眺める。
しばらくして感嘆の声があがった。
「お前、こっから家近いのか?」
「あ、はい。自転車で十五分です」
「冥皇大学ってここの近くだっけ。部活との両立とか平気なのか?」
「大丈夫です、頑張ります」
私が言うと、彼はふうんと言いながら紙を置く。
何だか気まずくなって、私はうつむいた。
「じゃあ、志望動機は?」
「え」
「働きたい理由だよ。ねぇのか?」
それはもちろん、あきお様に似たあなたがいるから……なんて言えない!
まっすぐすぎるあきお様の目つきに、私は思わず口を開いていた。
「一目ぼれしました! ……喫茶店に!」
あ、あぶね。思わずあなたにって言おうとしちまったよ……
「一目ぼれって……お前ここ来たの初めてだよな?」
「そ……それは……」
「……はっ、悪くねぇな。気に入った」
ふっと笑ったその笑みに、くらっと倒れそうになる。
ああぁぁぁ、カッコえぇぇぇぇ……
「合格。お前を雇ってやる」
「え!? いいんですか!?」
「人手たりねぇのに不合格もくそもねぇだろ」
なら最初から合格にしてほしかったなぁ……
「改めて、俺は神宮明王。不動明王の明王ってかいて、あきおだ。ここのマスターやってる、よろしくな」
な、なんと! 名前まで一緒なんですか!?
偶然って素晴らしい!!!
「水瀬如月です! よろしくお願いします!」
ここなら、見つかるかもしれない。私が求める、究極のネタが!
少なくとも私はそう思っていた。
「あ、制服とかあわせなきゃなんねぇよな。悪いけど明日、八時にはここに来てくれ。開店前に従業員全員紹介する」
あの三人の従業員が、私の前に現れるまでは!!!
(つづく!)
言わなくてもわかる気がしますが、主人公のモデルは私自身になっております笑
あ、Mimiru☆ってこんな人なんだ~と思っててください笑




