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あんたに何が分かるん!?

突如現れた天衣の姉・瑞樹により

天衣がバイトを辞めさせられるピンチに!?

「……はあ……」


翌日。天衣さんはこれまで以上に元気がないように見えた。

昨日のことが、すごくきいたのだろうか。

彼女のため息は何回かわからないぐらいついていて、見ているこっちがつらくなる。


「あまちゃん、やっぱ元気ないね~」


テーブルを拭きながら、輝流さんが言った。

私はコップを直しながら、彼の問いに答えた。


「そうですね……天衣さんの元気がないと、私も心配です」


「大変だよね~したかったことが出来なくなるんでしょ?」


多分あの様子だと、天衣さんはこのバイトを辞めさせられる。

何かいい方法は……あ、そうだ!


「輝流さん! これ、お願いしていいですか!?」


「食器洗い? 別にいいけど……」


「急用ができたんで早退します!」


「あ、ちょっとにがっちゃん!」


そう言って喫茶店を飛び出す。

なんとかしなきゃ。このままじゃいけない気がする。

思うがままに走り出す私。

こうなったらいちかばちか! 桜庭企業に乗り込むしかない!

それで、瑞樹さんを説得させて‥‥


ん? いや、まてよ。

ふと考え、足はゆっくり止める。

よくよく考えてみれば私、桜庭企業の場所知らないじゃん! 企業の名前も知らなかったのに!

ここまで出てきといて、どうすりゃいいんだ私は!!


と、そんな時だった。隣で大きなブレーキ音が聞こえたのは。

はっと見ると、そこにはバイクが一台とまっていた。

乗っていた人は意外な人物だった。


「みつけた! 如月、いくで!」


「え!? 美宇さん!?」


美宇さんはもう一つのヘルメットを私に投げ、にかっと笑った。


「もたもたすんなや。桜庭企業に行くんやろ?」


「な、なんで……」


「天衣を辞めさせたくないのはあんただけやないっちゅーことや。ええから乗れ!」


私はこくりとうなずく。

決意を固めるようにして、私は急いでヘルメットをかぶったのだった。



バイクで走り続けて約十五分。

ついたのはどんなに見上げても頂点が見えないほど高いビルだった。

入り口前のロゴには、しっかりと桜庭企業と書いてある。

こんなとこにのりこむなんて……私達無謀すぎないか?


「ほな、いくで」


「まってください! どうやって中に入るんですか?」


「そんなん知らんがな。正面から正々堂々つっこめばええんや」


うわー……適当だなぁ……

この人、適当に大丈夫なのかな?


「あらあら~? 迷い猫さんはっけ~ん」


迷い猫? それって私達のこと?

振り返るとそこには見慣れない背の高い女性が二人いた。

その二人はどことなく誰かに似ていて、一人の女性がにこやかに笑った。


「こんにちは~どうしたのかな、こんなところで」


「ここに来てるってことは姉さん目当てだよね? 姉さん、今会議中だよ」


ええ~っと、話についていけないんですが……。

私とは逆に美宇さんはあっと声を上げた。


「も、もしかして天衣が話してた二人のお姉さんって……」


「は~い~天衣のお姉さんで次女の鈴蘭(すずらん)で~す」


「三女の(ひいらぎ)です。天衣がいつもお世話になってます」


ええ!? 天衣さんって、四人姉妹なの!?

どうりで誰かに似てると思ったら……きれいだなあ。

一番鈴蘭さんが天衣さんに似てるのかな?


「あの、お二人も瑞樹さんに会いに?」


「そうだよ~みっちゃんに頼まれてたのを渡しに来たの~」


「蘭姉が極度の方向音痴で、それに私が乗せてきたってわけ」


へ~、そうなんだ~。

早く会議終わらないかなあ。


「ところで、天衣は元気?」


柊さんの唐突な問いに、私は動きを止める。

彼女に続き、鈴蘭さんも同じように話し出した。


「最近メールも返ってこなくて~大学の寮に入ってるからといえ、ちょっと心配だなあ~」


あれ? このお姉さん達、もしかして……


「鈴蘭、柊」


凛とした声が聞こえた。

そこにはスーツをきっちり着こなした瑞樹さんがいた。

彼女は私達に気付くと、ため息交じりで睨み返した。


「うちの妹達に、何をしているんですか?」


ひいっ、こわっ!!!

で、でも負けない! こんな怖さ、お化け屋敷とかに比べたら!


「ご、誤解です! 私達は天衣さんのことで、瑞樹さんに話があって……」


「ようやく辞める決意をした、というならお聞きしても良いですが?」


うっ……


「鈴蘭も柊も桜庭家の人間としてやってきています。天衣もあんなところで遊んでないで、早く目を覚ませばいいものを……」


「ルナティックハウスは遊びやない!」


するとたまらず、美宇さんが声を上げた。


「あんたに何が分かるん!? 天衣がそのことでどんなに苦しんで悩んでたか! うちは少なくとも天衣の様子を見て寮生活を提案した! 天衣も自分を変えたかったんや! 何も知らんあんたに、天衣の姉を名乗る資格はない!」


鳥肌がたった。

こんなにも他人のことで怒ってくれる友達がいるなんて。

天衣さんを見てきた美宇さんだからこそ、言えること。

それはきっと、私にもある!

この場を丸く収める方法! それは!


「皆さん、喫茶店に一緒に来てくださいませんか!? 天衣さんのいる環境と思いを直接感じてほしいです! お願いします!」


ばっと頭を下げ、周りの反応をおそるおそるうかがう。

すると……


「あらあら~? ルナティックハウスってここから十五分もかからないんだ~」


頭上からのほほんとした声が聞こえる。

頭を上げると、柊さんと鈴蘭さんが地図を見ながら笑って言った。


「車ならちょうどそこに止めてるよ」


「案内、してくれるかしら~?」


よかった、来てくれるんだ……一安心


「もっちのろんやで! んじゃ早速~」


「あなた達! 何を勝手に!」


「みず姉、試しに行った方がいいんじゃないかな。せっかく来てくれたんだよ?この子達の言う通り、天衣の様子を見たくない?」


「ひぃちゃんの言う通り~百聞は一見にしかずだよ~」


意地悪そうに笑う二人を見て、ほっと安心する。

瑞樹さんは観念したようにため息を深くついた。

さあ、決戦だ!


(つづく!)

今回はなんといっても、美宇ちゃんのかっこよさですね

二人の信頼感はとても真似できるようなものではないと思います

何年もいっしょにいたからこそ、わかるもの。

こういう親友関係は、憧れるものがありますよね


次回、お姉さん三人をつれて喫茶店へ!


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