もしかして、いるんですか?
新メニュー考案成功!
しかし大雨により、ルナティックハウスに泊まることになって・・・?
「ぷっはあ~! 風呂上がりの酒は格別やで~!」
神宮さんの許しを得てもらったビールを飲みながら、美宇さんは声をあげた。
一台の扇風機がぐるぐる首を振る。
店のを使って出来たかき氷を食べながら、私はため息をついた。
まさかのことで泊まることとなってしまった私は現在、女子三人で喫茶店内にあるリビングらしき広い部屋にいる。
男子達は休憩室に布団を引いて寝るらしい。
さらに美宇さんの強引なお誘いにより、一緒に風呂入らされたあげく、風呂上がりに輝流さんにはちあうし……
今日ほんっとついてない!
「それにしても美宇さん、用意周到ですね。まさか、着替えを持ち歩いてるとは思いませんでした」
「スポーツしてるからなぁ。汗かいた時のために持ち歩いてるんや。今日は雨がひどかったからやけど、正解やったわ」
さすが美宇さん、まめだなぁ。
「美宇ちゃん、いくら暑いとはいえそんな格好でいちゃだめですよ」
「ええやん、別に。女しかおらんのやし」
「一応マスターさん達はいるのですが……」
天衣さんが苦笑い交じりで言う。
そんな彼女を気にもしないで、美宇さんは私に詰め寄った。
「そんなことより如月! あんた、マスター好きやろ!?」
~~~~~~~っ!?
「おっ。その顔は図星やな?」
「ちちち違いますよ! 好きなんかじゃありません!」
「なんで隠すん~? 照れんでもええやん、バレバレやで」
ううっ……
「マスターさんから面接の話を伺った時から疑問に思っていたんですが、やっぱりそうなんですか?」
「……そ、そうですけど……」
「やっぱりなぁ! 倒れた時に間違いない思うて正解やったな!」
まさか気付かれるほど分かりやすかったとは……
ってことは輝流さんにも気づかれてるって可能性が……
いや、それより!
「私が神宮さんを好きってことは、言わないでくださいね!」
「言いませんよ、そんなこと」
「大丈夫や。そういうのマスター鈍いから安心せぇ」
むしろ困る気がするんだが……
ばれてしまったのが好都合なのか、私にはわからない。
昔誤解されて好きでもない人と二人きりにされたことあるしなぁ。
ほんっと女子って恐ろしい。
「にしてもマスターとはなぁ。案外趣味ええんやな」
「やっぱり神宮さんってモテるんですか?」
「多分な。マスター色恋沙汰の話したがらんから、あんま知らんわ」
え……なんでだろ。
まさかふられた経験がある、とか?
それでもう人を好きになることができなくなったとか?!
……って、どこの漫画シチュエーションだよ!
「マスターさんの作るコーヒーが目当てなお客さんもいますけど、一番多いのは輝流さん目当ての客ですかね~」
思わず、えという声が漏れた。
天衣さんの言葉に賛成するかのように、美宇さんもいった。
「まあなあ。あいつがことごとく女子口説いてる結果やろ? あんなチャラチャラした奴のどこがええっちゅうねん」
うんうん、ですよね!
と言いたいところだが小説読んでもらってる身として、あんまり言いがたい……
「そういうお二人は好きな人いるんですか?」
「なっ! 何を言うとるんや、如月っ!」
むむ? これは……
この反応的に考えられることは一つしかない。
私もばらしたんだし、自分だけっていうのは不公平だよね~……にやり。
「美宇さん……もしかして、いるんですか? 好きな人」
「い、いるわけないやろ!」
「じゃあなんでしどろもどろになってるんです~?」
「そっ、それはそのぅ……あのぅ……」
「まあまあ如月さん、そのくらいにしてあげてくださいよ」
ちぇっ、ちょ~っとからかっただけなのに。
「如月さんって、意外Sなんですね」
「とんだ後輩やな。いっちょしごいとくか?」
あ、やばいな。
これ以上は後が怖いし、やめておこうっと。
しかし意外だ。美宇さんの性格的に恋愛なんて興味ないって言いそうなのに。
「じゃあ天衣さんはどうなんですか?」
「残念ながら、私はそういうのに縁がないので。恋愛とか経験ないんですよ」
へ~これまた意外だな。
そう思っていると美宇さんがこっそり私に耳打ちした。
「こいつ見た目はええのにとっことん鈍いんや。あいつの苦労がいつ報われるのやら」
「あいつって?」
「教えんでも嫌というほどわかるで。超分かりやすからなぁ」
ふうん……
ってことは天衣さんを好きな人がいるってことだよね?
なんで教えてくれないんだろ。不公平だ!
「さて、積もる話も終わりましたしそろそろ寝ますか?」
「せやな~そんじゃまおやすみ、如月」
「あ、はい。おやすみなさい。天衣さん、美宇さん」
そう言いながら部屋の電気を消す。
真っ暗な空間を見つめながら、私はゆっくり目を閉じた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
だんだんと雨が強くなっていく。
輝流は静かに窓を眺めながら、携帯を見てふうっとため息をついた。
まさか喫茶店に泊まるなんて思いもしなかった。
しかも女の子達と同じ屋根の下で暮らすなんて、いくら彼でも考えられない。
彼の脳裏にはうっすらと如月が思い浮かぶ。
どんなに振り払っても思い出すのは、あの日のことだ。
彼女の小説を読んだりそばにいたりすると、どうしてもおかしくなってしまう自分がいる。
輝流のため息は深くなるばかりだった……
「こんな夜遅くに一人で何してんだよ」
聞きなれた声の突然の登場に、輝流はびっくりする。
振り返ると、そこには魁皇がいた。
彼の手にはタバコが握られており、一つとるとそれをふいた。
「眠れないのか?」
「そんなとこ。つか店内禁煙なんだけど」
「別にいいだろ。お前って枕変わったら寝れない体質だったっけ」
「いやあ~なんか思うように寝付けなくて」
輝流がそういうのを聞きながら、魁皇はタバコを吸う。
ふうっと吐くと、彼は重たげな口を開いた。
「お前最近変だよな」
「え? そう?」
「まあいつも変なんだが」
「その一言はいらなくね?」
「なんつうか、変わったんだよ。雰囲気とか、色々。なんかあっただろ」
痛いところを突かれ、とっさに何も言えなくなる。
輝流はふいっと顔をそらした。
だがすぐに笑顔に戻ると、魁皇の肩に手をのせた。
「オレのこと心配してくれてんの? チューンってばやさし~」
「別に。ただ聞いただけ」
「つれないね~そんなんだからあまちゃんに好かれないんだぞ~」
「桜庭は関係ないだろ」
「まっ、チューンの恋愛が実るよう祈っとくよ」
「他人事だな。もしお前に好きな奴ができたらどうなるんだか」
「オレ? 恋愛とか無理無理」
彼の中で、その感情が芽生えるのはもう少し先の話……
「ああ、今日はみんな泊まらせといた。帰れそうになくてごめんな」
『そう……分かったわ。明日には晴れるみたいだけど、店を出て大丈夫なの?』
「心配ねぇよ。一応、従業員は信頼してるつもりだし。んじゃ、お休み」
そういって明王は電話を切る。
ひどくなる雨を見ながら、彼はどこかへと立ち去っていった……
(つづく!)
今回は女子トーク会ですね。
男子は男子できっといい夜を過ごしたに違いな・・・こほん。失礼しました。
先日、親に言われたところまで歩いていこうと
携帯のマップ頼りにしていたところ
真逆の方向に向かってました
方向音痴にも程があるとは、このことですね笑
次回、明王の意味深行動の意味が明らかに?




