表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

意味……わかるな?

みんなで大掃除をして、なんだかんだなじみつつある如月。

季節はいよいよ夏休みへ!

「にがっちゃ~ん。ハイこれ、借りてた小説」


輝流さんが渡した一冊ノートを、私はゆっくり受け取った。

あの大掃除から一週間、私達はあっという間に夏休みへと突入した。

最近台風が近くなってきているせいか、梅雨明けしたにもかかわらず外は雨が降っていた。


「あ、ありがとうございます。あの……どうでした?」


「ん♪ すっごくよかったよ。主人公のバカっぷりにみんながつっこんでいくのが面白かったな~」


はあ、よかった。

こういう感想が、一番心の支えになる。

なんせ輝流さんがにこにこしながら言うものだから、嘘じゃないんだって分かるし。


「にがっちゃんってもしかしたら才能あるんじゃない? 何かに投稿しちゃいなよ」


「そ、そんな! 私なんてまだまだですし……」


「ちぃ~っす! お疲れちゃ~ん!」


そういっている途中、喫茶店のドアが開いた。

それは私服を身にまとった美宇さんと、天衣さんだった。

美宇さんは半そでの半ズボンを着ていて、天衣さんはかわいらしいワンピースを着ている。

一目見ただけでも二人の性格が分かるほどの違いだった。


「やっほ~ミュウミュウ、あまちゃん。遅かったね~」


「すみません。早く着く電車が見つからなくて……」


「休日はあんまでぇへんのや。つうかマスターも、わざわざ休日に呼び出さんでもええのになぁ」


実を言うと、今日はルナティックハウスが定休日の日曜日である。

なぜか突然昨日の夜に、神宮さんから全員招集がかかったのだ。


「お前ら、全員そろったな」


違う部屋から、神宮さんが出てきた。

はうっ! 神宮さん、イケメン!

私服姿で出てくるなんて、反則ですよ! まったく!


「わざわざ休日に来てもらったのはほかでもない。ルナティックハウスについて話すためだ」


そういう神宮さんの顔は真剣で、いかにもこの店を支えるマスターって感じだった。

そんな彼にうっとり見とれながらも、私はごくりと唾をのんだ。


「この前大掃除した時にここの昔のデータが出てきてな。それと近年のデータを合わせてみて、近年の売り上げが悪くなっている。意味……分かるな?」


え、え~っと……

まずい、神宮さんに目を合わせられない。

じろりと見つめる彼の目線が、怒っているかのようにも見えるし……


「お前らはここ近年、なぜ客が減っていると思う?」


突然聞かれ、つい私は考えてしまう。

なかなか返事を返せない私に対し、三人はさらりと答えた。


「は~い、店が狭いから~」


「冷暖房が全然きかないからや!」


「メニューが少ないから、でしょうか?」


「お前ら殺すぞ」


さ、さすがだ……。この従業員三人は色々な意味で無敵な気がする。


「水瀬、お前はなんかねぇのか?」


「そうですね……あ! 初めて来た時に思ったんですけど、コーヒーに対してデザートが少ないのかなって」


「なるほど、やはりそうか……つーわけで、今から新メニュー考案を行う」


い、今から!?

もしかして休日に呼ばれた理由ってこれ!?

神宮さん……喫茶店に関しての愛情が半端ないなあ……


「なんかねぇのか、アイデア的なもの」


「はいっ! 提案なんやけど!」


神宮さんが言うとすぐ、美宇さんが手をあげた。


「ターゲットとなる客を絞ってみたらええやない? そしたらメニューとかも自然に出てこぉへん?」


おお! 美宇さんにしてはすごく納得できる理由!


「だったらやっぱり女子高生じゃね?」


「確かに、コーヒーは全種揃ってますからね」


女子高生か~。

私は思わず、この前来た高校生を思い出す。

確かに高校生の客は少ないかも。比較的成人の男女だし……

ていうか、比較的に男性の比率が高い気がするのは私だけか!?


「あ、思い出した! 女子って甘いもん好きだし、スイーツ系がいいんじゃね? この前聞いたら、そういってた」


輝流さんの意見はあながち嘘じゃない。

だが彼が言うと、女子である私が複雑だ……


「スイーツか……桜庭、作れるやつあるか?」


「えっと、基本的に全部大丈夫です、レシピ本も揃ってますし、部活で色々作っているので……」


そっか、天衣さんは家庭科のサークルに入ってるんだっけ。

毎年文化祭とかで手芸品寄贈したり、小さなお茶会開いてるよな。

あんまり詳しくは知らないけど。


「よし、じゃあ新メニューとして作れるデザートがあるか一通り言ってみな」


「はい! うち、クレープが食いたい!」


「お前個人のことは聞いてねぇよ。つかクレープ器おいてねぇし」


「んじゃ和菓子とかは? やっぱ日本っていえば和食じゃね?」


「どうやって作るのか知ってんのか、お前は」


きれきれなボケと突っ込みに、思わず苦笑する。

この二人からいい意見が出るとは思えないし、ましてや天衣さんが作れるような料理と言ってもなぁ。

………あ!


「パフェ、とかどうですか?」


私が言うと、四人の視線が一気に向いた。


「ファミレスとかでも普通にありますし、デコレーションとかを工夫すれば……」


「そんな難しいもの、桜庭が作れるわけ……」


「できます。私、パフェ作ります」


決意に満ちたその一言に、私はびっくりする。

神宮さんも珍しいような目つきで、彼女を見つめていた。


「よう言うた、天衣! それでこそ、うちの親友や!」


「……分かった、作るだけ作ってみろ。杉本、今のうちにあいつにアポとっとけ」


「りょ~かい♪」


淡々と始まる新メニュー計画に、私は戸惑いざるを得なかった……


(続く!)

ルナティックハウスメンバーのぼけとつっこみは、

書いていてとても楽しいものがあります。

コメディものに慣れつつあるって証拠ですよね! ・・・あれ、違いますか?笑


次回から三日後更新にさせていただきます。

はたして新メニューの行方はいかに・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ