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プロローグ

(長い夢を見ていたみたいだ)


ここはとある星のとある場所。

赤ん坊へと生まれ変わった一人の男の始発点。


夢を見て、夢に魅せられた。

そんな感じのする、どこか、まるで自分だけがこの世界を見下ろせるような位置にたどり着ける、そんな感覚。


部屋の広さは大人が生活していても不自由のないくらいの広さで。

天井を見ると、何かしらの魔術にかけたかのように、興味深い木目がこちらの目を動かしてきて。

木製の窓の外を見ていると、澄んだ心のように何もない青が際限なく広がっており。


そして当たり前のことながら音も聞こえてくる。

それは風で、物で、鳥で、人で。


手を動かしてみれば布団の感触がある。

お日様と、どこか懐かしい記憶が思い起こされるようなにおいが。

人のぬくもりが感じられるこの温かさが。


全部が全部気持ちがいい。


かつては自分ですべてを手に入れようとして。

彼女と同じくたった一つ願った。

そんな宝物。


無いものを願うのは高望みしすぎているだろうか、と繰り返し自問した。

確かにそこにあるべきものなのに無いのは何故だ、と繰り返し問いかけた。


それでも世界は変わらない、幼き日の少年はそう思っていた。


理想と現実は常に表裏一体のものであって、こちらを表にすればあちらは裏となり、はたまたあちらを表にすればこちらが裏となるような、そんなどうしようもない光景が、ひどく印象に残っていた。


絶望の中にあって、それでもなお自分を照らし続ける希望の光さえも、それはさらなる絶望にしかならなかった。


世界は自分の味方をしない。

世界は仲間の味方をしない。

世界は愛の味方をしない。


じゃあ、自分で世界を変えればいいじゃないか。


そんなものはあまりにも荒唐無稽で。

誰もが口をそろえて無理だと言ってきて。



結局、世界は変わらなかった。

世界なんて変えていいものではなかった。


軌跡の途中でいろんな出会いがあった。


ある人は、世界は自分が中心だ、という。

ある人は、世界の本質が争いだ、という。

ある人は、世界には何もない、という。


皆が皆世界に何かしらの思い入れがあって。

なぜかそれを変えたら自分がなくなってしまいそうで。


だから少年は逃げた。

この世界というものから逃げた。


自分が自分でいるため。

自分が守りたいもののため。

そして何よりも世界のために、



(ああ、俺、転生したんだ)


それなのに感じてしまう心地よさ。

これがずっと求めてきたものなのだろうかと。

まだ繰り返し問うことはやめられなさそうだ。



紡ぎ紡がれ続けるははるか彼方からの物語。

結末なんていう美しいものなんてなく、ただただひたすらに苦悩する。

そんな物語の始まりを今ここに。


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