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 地元の中学校に入学してから早二年。

 明日香は部活にも入らず、勉強も身に入らないまま三年生になっていた。

 新しい友達もできて、学校生活は楽しいものになっている。

 だが、なんとも言えない物足りなさがやる気を削いでいた。

 その理由はとっても明白。

 幼い頃からの想い人……遠くに行ってしまった幼馴染みのせいだ。



「……はぁ~~~~」

「いい加減に元気出せば。うるさい、しつこい」

「うう……きっついよ冬美ちゃ~ん……」



 隣の席の友人――藍川冬美(あいかわふゆみ)に、拗ねた顔を見せる明日香。

 しかし冬美はそんな彼女を相手にする気配がまったく無く、校則違反である雑誌を机に広げていた。

 雑誌には、今流行りのお洒落をしているモデル達が載ってる。

 明日香はなんとは無しに雑誌を覗いて、それに集中する友達と見比べた。

 同性と比べるとやや高めの身長と、短く切り揃えられた綺麗な髪と白い肌。

 そして中学生とは思えない端整な顔立ちは、この雑誌に載っているモデルにも引けを取らないレベルだ。


 昔からあまり身なりを気にせず、乱雑な短い髪と飾りっ気の無い明日香とでは、まるで月とスッポン状態である。



「冬美はこういうの、興味あるの?」

「いや別に」

「……の割には、結構身なり気にしてない? 髪とか綺麗だし、モデルさんになれるかもよ~?」

「興味無い」



 ふざけてからかってみるものの、冬美は全てを一蹴りして乗ってくる気配は無い。

 彼女は出会った当初から素っ気なくドライで、あまり人を寄せつけるタイプでは無かった。

 ルックスも良くて頭も良くて、最初の内は誰もが交流したいと思っていたようなのだが、そんな性格とキツイ物言いのせいで怖がられてしまっている。

 だけど根は優しいし、可愛いところもあることを知った明日香は、そんな彼女とも気兼ねなく接している。

 冬美はどう思っているのかは分からないが、明日香は彼女を友達だと思っているのだ。



「あ、そうだ冬美。今日の放課後どっか寄って行こうよ!」

「彼への愚痴は聞かないから」

「う……」



 魂胆を見抜かれてしまったが、誘いを断られなかったのが彼女の根の優しさを証明していた。

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