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空間硝子の向こうから


 光がいる

 人の一億行列

 きっとそれよりも長く向こうの

 近くて遠い、ゆえ知らぬ光の君だ


 いったいどれほどの距離があるか

 名前も知らない彼の足は

 ただ黙々と淡々に

 どこからかやってくる


 それは僕のために進んできたのか

 いいや、誰のためでもない

 ただ理のなかを進み

 従順に振り返ることすらなく

 滅多に変わることもなく

 ずっと無垢に進んできたのだ


 その孤独はただ彼のために

 それが彼の普遍であり

 なにも食わず、なにも飲まず

 寝ることさえもなく

 光として重力と寒さに耐え

 絶えることなくやってくる


 五億年ボタンとはまるで違う

 あれは記憶を失う

 しかし宇宙とは記憶の中だ

 何億何兆と紡ぐことやめず

 僕の目までやってくるのだ

 なんてすごいことなんだ


 だからこそ想うのだ

 まるで過去や未来の姿と同じで

 ひとりいくし、かえるのだから

 それがどれほど孤独であるか

 それがどれほど困難であるか

 しかも地球は厚い硝子だ

 僕の目では見れぬやもしれん

 盲目的な僕の観測では

 彼に気づかぬやもしれぬ


 どうか、彼の孤独をかつげないものか

 栄誉や良心のためではない

 偽善も見栄もあったものでない

 ただ彼の、辺りに蔓延る冷たさは

 大きく分厚い時間のためだ

 それを阻んでいけるのは

 儚く温めてしまえるのは

 意思あるものとの引力だけだ


 歳月を詠む僕らの世界

 すべてをなくして進む光

 はたして人は、かくあるべきか……

 

良ければなにか残してね

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