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海馬に飼葉はかばかりか
言葉の酒に酔いしれる間に
シラフで言葉を紡いでみせよう
言葉の海で溺れる前に
編んだ舟で航海に出よう
言葉の綾など知ったことか
皮相と虚実はとうに置いてきた
ほろりと流れる涙に失敬
掬ってお味を確かめさせて
自彊不息はまことに良きかな
喉を絞めぬようきちんとしてね
ぐるっと回って転がり落ちろ
空がどちらかわからなくなる
いっそ踊ってみせてくれ
滑稽だろうとそれはかまわぬ
月と夜離れなくいたければ
端を掴んで編んでおけ
実相と理想を見つけるために
琴の張りまで引きちぎっていけ
歪んでやられた脳から弾け
必要なのは教義と狂気だ
僕は食べる、知りたいものを
虚しくなるにはまだ早い
まだまだ食べてないものばかり
良ければなにか残してね




