84/108
切なる鏡面カンデラ
反転、共鳴そのカルデラに
顕現するのは哀切と業
ティル・ナ・ノーグの磔台に
登っていくのは愛憎だ
六面体原しみじみと光り
降雪、星屑そよそよと積もる
運河の模様はいかほどか
太陽も月もありはしない
乳白の道に数多翔けるは
高らかに歌う聖人の君だ
ハープの音色、彗星も眠る
トランペットは渦巻き銀河
幾重に鏡は並び立ち
星霜宇宙を写し現す
泡沫はいつかはじけうる
有精卵のはじけと同じ
満遍の瞳、間断なく
惑星となって悠々周る
天軸それぞれ差異あるが
なべて一つはすべてに還る
生まれて死んで、また生きて
鏡の原でそよそよ揺れる
窪んだ世界の全天に
意思も思惟もとろけて混ざる……
良ければなにか残してね




