世界の中心について
有限の世界について
僕は有限の片隅に生まれた
線と点と立体と
時間とその内側にある空と
がらんどうの向こう側にある川に挟まれ
無限にも思える宇宙を宿して
僕は有限の片隅に生まれた
時間を持って生まれたはずの子は
定まった共通の時間に沿った
失われた時を取り戻すことは
その世界じゃ求められない
螺旋と中心を軸として
情緒豊かに指揮を振って
確かにあるはずのなにかを見て
僕は有限の片隅に生きる
それが全てではないにしろ
全てを求めることはできぬから
超現実の調弦をもって
神聖も愚劣も明日へ移して
鏡の向こうの自分を指差し
何者か問うて毎日眠り
僕は有限の片隅に生きる
いつか訪れる日には悟るだろう
冷めるために眠る揺籠で
骨の髄まで触るために
魂の園で風となるまで
愛と憎悪の中間で揺蕩い
近くも遠くもあるその場所で
僕は有限の片隅に死ぬ
すべてを通して無限とするなら
果てのない空で鳥と歌うなら
温かさのみが生死ではないから
死すらも超えて
光も影も見え透いて
無垢な氷の繻子織の向こう
心地は凪いで
僕は世界の一部で核だ
過去現在未来形のあなたへ……
良ければなにか残してね




