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喧騒アスファルト
さんざめく街にぽっかり空いた
暗闇のそばに佇んでみる
そこに妖怪が出るらしく
僕はそいつを見てみたいのだ
ずーっと覗いてみてみれば
暗順応から形がわかる
マンホールにつく吐きガムも
暗闇の濃いも薄いもわかる
やがて輪郭浮き出してみれば
どうやら妖怪目の前にいる
僕と似たように突っ立っている
ポッケをまさぐりなにかを取り出す
そいつの右手に一本の星
暗闇の中で灯る自然翠
六角長方体の面に
僕のこけ頬映ってる
そいつは星を僕に手渡し
瞬きのうちに消え去った
残った闇に残滓すらなく
幻想世界に溶けてしまった
……僕は手に持つ星を見る
空に掲げて眺めてみる
僕によく似た器みたい
僕は座り込み風を聴いた
そこには声すら乗っていなかった
良ければなにか残してね




