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異邦人
薄い雲母の狭間に空青く
鳥は滑空さらさらといく
すべては羽筋風まかせ
不思議な世界の辛苦となれ
あなたに愛はあるのでしょうか
いいや藍ならあるかもしれぬ
それはどうにも操れぬもの
どこかの道からやってくるもの
絵画のような素晴らしき線も
星のごとく煌びやかな点も
どこかへ向かって進みゆく
そこに導きはあるのだろうか
かの約束の地へと向かうか
しかし救いは無欠ではない
必ず空虚は存在している
老骨のような灰と穴の街
この全天のすべては僕だ
そして同時に僕は独りだ
時空の粒子に同じ僕だ
そしてどこへでも流れさすらう
鉄道もなにもいらぬのだ
方舟さえも煙に同じ
流れゆくのは螺旋の階下
明滅のなかに住みゆく人だ……
たなびゆくのは性か求めか
良ければなにか残してね




