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嵐の時代
僕らは宇宙のCEO
ひとりひとりが世界の原初だ
でなければこの不幸は嘘だ
なんの動きも存在しない
くたびれた時計の錆も僕だ
見えぬフレームを隔てるも僕だ
宇宙光線のただ一つは君
本の間隙もひとつの君
茫漠のネジも僕と君
膨大な人もいくつかの針
そうでなければ底抜けの鉢も
心根のうちにありはしない
歴史に光った数多の星は
嵐のなかでも輝いている
それらすべてが世界の一つ
中性子の蟻にすぎないわけだが
そうして僕らは嵐を行く
屍に咲いた花々の土を
ようく踏み出して散りに行く
それが僕らの因子にある
もしも僕らに神がいるならば
なにを思ってこうしたのだろう
きっとそいつは欲がある
それだけ確かにわかるのだ
僕らは知らずに夢を見ている
それは誰にもわからないけれど
(いつかわかる日が来ると良いけど)
不思議なもんだよ、時代を行くのは
良ければなにか残してね




