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心景
青い風が泣いている
荒々しくしなるのは木々
赤や黄色の葉が多い中で
緑は限りのあるものだ
空はいつでも黄昏の時
東に星が瞬いている
月は不思議な網状電燈
あれはもしや野球ボールか
建ち並ぶ家はごく新しく
まるでハリボテモデルハウス
近くでちらちろ流れるは川
しかし透明こんなの変だな
川岸にあるは桜の木だな
しかし上なく切り株だ
そうかこれは、故郷だ
故郷の絵が僕の中に!
なんだか匂いもしてきたぞ
潮のような田んぼのような
田舎臭さが骨身にしみる
コンクリートの欠けが経過
自転車の音がきこえる
買い物帰りの母の車
父のジムニーまだそこにない
家の前には白硝子の庭
そばの草むら手を突っ込んで
小さな毛虫を踏んづける
すると後ろから声がした
見ればそこには過去の姉
僕も子どもになっていた
呼ばれて家へと帰っていく
もうすぐ夜が訪れるのだ
今日の晩にはなにが出るだろう
母の料理は美味しいのだ
そこで僕は夢から覚めて、小さな小さな玉が生まれる
良ければなにか残してね




