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金平糖の冬
青と橙曇りなき空
そのはじっこには白月の欠け
電柱の陰はやけに黒く
瞳の中の球体絵画
哀愁のこもるその産物
いったいどこから来たというのだ
魂の持つ不変遺伝子
そこに迷いなどありはしない
寒さはまるで棘のよう
夏は内から外へ痛みが出る
しかし冬は外から内へ
たくさん刺さって震えを誘う
形だけ見ればどちらも金平糖
双璧をなす季節の狭間に
降り積もる色は染め上げられ
金平糖は染まりゆく
棘はそれぞれ宝石だ
金剛の梁に極彩の壁
側に灯るは夜行炎灯
もうすぐ空には金平糖
乾いた風が吹きすさぶ
もうすぐ麗夜がやってくる
苦しみと哀のただよう季節
もうすぐ冬がやってくる
良ければなにか残してね




