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哀よりも藍色
哀しみのそこここに積もる情景は
すべてフレームの向こう蒼炎
ちらつく炎はラピスラズリ
園に煌めく無数の花
藍色になれば良いだろう
そう願ってもなにもできない
だってフレームの向こう側
前には時間ガラスがある
眺められるのは過去だから
または分岐の油絵だ
水彩画ならば綺麗で済んだ
しかしそいつは油絵と過去だ
そんなものたちが何枚もある
僕はただ中でジッとしている
触れることなど叶わない
移された空は雨を含まない
向こうの風で揺れる花は
変わらず蒼炎おまけに光沢
光源は天上の満月草
どこまでいっても薄弱の君
これをいつかペンダントに
首元に下げて冷たく光る
それがいつか藍色となるよう
僕は歩きだし血を流す
良ければなにか残してね




