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眠気
血が流れるのを感じる
ふとももから先へ
二の腕から先へ
末端の冷えがなくなるとき
僕は眠りにつく
しかし眠りは死に近い気がする
それらしい意識がないし
夢は見るけど死もそんなもんだ
だけど眠るとき冷たくならない
ここがまったく逆なのだ
ならば眠りの果てに死すとき
安寧にもっとも近いのだろう
菩提の下でうずくまり
草木の中で息をして
ゆっくり冷めるように眠るがよい
眠りは内へと入っていくが
死は外世界へ還ることだ
眠りは沈んであたたまる
死は天上へと昇ってさめる
眠りが先か、死が先か
原初の彼らは知っているだろう
毎日死んだように覚め
いつしか眠るように冷める
これが一番大好きなんだ
僕の求めるうちの一つ
だから今日も、眠気を充分持ち越してみる
良ければなにか残してね




