安寧
思えば人生にゴールはない
それは誰でも気がつくはずだ
しかし対処は知らない
知ればこれほど孤独なことはないはずだ
いつしか知らないふりをして
考えることを捨てていく
生きて死ぬのはごく普通だから
維持は慣れれば楽だから
人生の果ては誰も知らない
転生だとかあの世だとか
そんな不確定をごく当たり前に信じ
先を知らぬまま死んでゆく
あれこれをすれば浄土だとか
悪さをすれば地獄だとか
転生なんてのはちゃんちゃらおかしい
誰にも知られないじゃない
ゆえにゴールを決めようとする
目的地があることは嬉しい
帰る場所があるのは孤独じゃない
そうして一人で歩いていく
やがて辿り着くだろう
そこが答えであるはずはないのだけれど
気づけば安らぎを欲する
だがやってくるのは虚しさのみ
いつまでも孤独です
完全無欠はありもしない
そこに安寧は訪れない
一生すべては移ろっていく
ならば一人で歩いていくのか
騒いで歩いていくのか
言葉を尽くしてなにかを遺すか
たぶん死ぬまでわからない
もうよいとふてくされるのも
狂っていこうとネジを外すも
木偶の坊に生きようと
すべてうっちゃっていこうと
最期は意思なく終わっていく
扉を開ける閉めると同じく
去りゆく背中は止められぬし
ドアノブのひねりも止められぬ
良ければなにか残してね




