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本の香りとリフレクション
幾何学模様の鏡地獄
僕ら抱えて突っ立っている
いちにか業と屈み示す
それは孤独なプラネタリウム
触ってごらんよひどく脆い
有精卵の面影だ
覗いてごらんよ輝かしい
彗星蘭の仄かげだ
めくるめくあるは記号と香り
和らいでいるが奥底は棘だ
たどりゆくさきは死相のさわり
白んでいるがいつもの君さ
いっそ食べてしまえたらと願う
それは決して叶わぬことだが
いくつもの君が見ているのだから
割ることのできぬ作りでね
思い出しては消えてゆく……その眼差しと匂いと手触りで、君をどこまでも連れてゆく
追い出してはいけないよ……どこまでも君を見つめているし、香らぬことはないのだから
良ければなにか残してね




