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刻の残像
はらはらさら、はらさら
君が笑っている
いつごろだろうか
揺れる髪先
まるで散りゆく蜘蛛の糸
それが誰かはわかってる
しかし朧げ思い出せぬ
雲を掴むか空気に触れるか
はたまた秒針間の刹那
はらはらさら、はらさら
焼き付けようとはしなかった
僕は盗む気がなかったから
触れる眼差しいたいけで
残り香のすべて白弱で
繋がる?
触れる?
掴んで拒む?
確かにあの刻、笑っていたんだ
遥か彼方の先にいて
僕のそばから離れないで
泣いて叫んで震えていて
最後に笑ってスイランカ
そうして綺麗に散ってゆく
曇りなき果てに吸い込まれて
夢幻に思える刻の中で
こくりこくりとうつろってさ
はらはらさら、はらさら
さらさらはら、さらはさら
いつからだろう、目覚めの涙に淋しさを覚えたのは……
良ければなにか残してね




