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デザートペンギン

僕は望んで砂に落ちた

その砂はさらさら流れ続けた


翼持つ僕は飛んで行けるけど

あえてその砂に身を任せたのだ


空行く仲間は総じて笑う

どうしてそんなに愚かなのか、と


けれど仲間はみんな知らない

砂には色々種類があるのだ




気づけば僕は砂に溺れた

羽もなぜだか動かなかった


仲間はあわれみながら笑った

僕は二度と飛べなかった


呼吸も動きも鈍くなり

空と砂とが反転する


やがて空へと羽を伸ばし

翼をなくした過去を怨んだ




砂に溺れてまた寝転んで

いつしか仲間は見なくなった


僕の仲間は砂粒と虫

虫くんなんだか泳いでる


僕のあとに続いてごらん

虫くんなぜだか得意気だ


僕はばたばた羽を鳴らし

少しずつだが進んでみた




いつしか僕は飛んでいた

砂空さらさら僕を包む


宵闇の中を飛んでいるよう

いつしか空は砂となった


虫くん僕の背中に乗って

君はすごいよと褒めてくれる


かつての仲間は笑っていたが

僕はなんだか誇らしい




僕は誰よりも砂を飛ぶ

さらさらゆらりと自由自在


跳ねて飛んでくるくるり

砂は僕に答えてくれる


うれしいうれしい僕は飛べた

かつての仲間よりも速く


かつての仲間はまだ笑う

しかし僕にはなんでもなかった




そよそよ飛ぶのはこの僕だ

世にも一匹ペンギンだ


砂を飛ぶのさ不思議だろう

だけど全ては必然さ


そうしていつしか虫くんは消え

かつての仲間もどこかへ行った


なんだか少し、息苦しい

空をほんのり吸ったみたいだ……

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