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まどろみ
酷く気だるげな身体を抜けて
眠りの震えに夢を見る
夢の中では時間がない
急ぐも過ぎるも夢次第
夢の中では不思議なことに
数歩後ろから眺めている
それがどれだけ続こうとも
なんの違和感も感じやしない
眠っているとも知らずにか
夢でさえまどろみ掴もうとする
きっと木々の意識に似ている
彼らは夢でも眠っている
欲してやまないまどろみは
まだ見たことのない神秘
知識の園の柵越えて
遠い宙からあいさつしてくる
触れられず
見られず
聴くことも嗅ぐこともできない
当然味わうことも
しかし僕らは知っている
誰に教わることもなく
それが温もり溢れるものであると
なぜだか知っている
記憶の外からやってくる
長い旅路の制覇者は
やがては僕らを置いてゆき
続く道をも歩いてゆく
そこに論理も屁理屈もなく
ただひたむきに、恐ろしく
結末のみを焦点にあて
夢の終わりまで、ぼんやり進む




