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雨流ほど
雨の降り出しと同時に飛び出し
僕は滲みゆく地面に寝転ぶ
どんどん濃くなる世界に対し
僕は大口開いて笑う
紫陽花の艶にそれぞれ言の葉浮かんでは消え
不思議とそれらは僕に降り落ちる
そうして紡いだ言の葉煌めき
ひとつふたつと浸透してゆく
ぱららぱらぱら雨足強く
やがて不規則なリズムとなる
四拍三拍いやさらに細かく
きっと譜面では表せない
やがて自然と身体は上がり
吹き出した風とさらさら踊る
篠突く音なり霧立ち込めて
身振り手振りは激動となる
傘があったら退屈だったな
屋根があったら落ち着かないな
そんな言葉は浮かんですぐ消え
沁み渡る汗を辺りに降らす
雨流ほど、雨流ほど
踊り回るわ流れに乗って
雨流ほど、雨流ほど
不死の魂自然に還って
豊かな調べと記憶をもって
僕は風雨に溶けてゆく……




