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三下老人
やーいやいやい意味ばっか!
どこぞのクソガキ吠えたける
僕は鉄面表情変えず
更地脳漿を羨んだ
一体いつまで意味を追うのか
老いてなお続く人生の園に
調度品ばかり並び立てて
景色など見ずにそれらを眺める
一面広がる花々と
青藍燃ゆる白雲の海
しかし目につく言葉ども
そこには一人の老人佇む
目ばかりギラギラなにやら探し
ゆらゆら見つけるのは言葉のみ
そこに真意や隠喩を求め
内に潜んだ何者を消す
老人ついには臥所へ倒れ
痴呆眼に少年が浮かぶ
それは水底照らす満月
年月が生んだ幻影に過ぎぬ
それはいつでも僕らの過去で
どこでも同じ顔をしている
虚しくさせるは郷愁か
記憶の裾にはよく隠れている
しかしこいつは厄介だ
あまねく過去の断片と
滲む絵空にのぞいている
まるでかくれんぼのように
最期に見るのは今ではない
いつだって小さく無知な自身だ
恋人家族はその付属
一枚フレーム外からのぞくよ
あの日、知らずの僕たちへ
敬意と侮蔑と嫉妬を混ぜた
意味ばかり宿る耄碌の目で
果ての懐古に涙を添えて……