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理不尽な隣人
なにをやっても駄目なヒトのいる不思議
なにをやっても良いヒトのいる不思議
空埋め尽くす星の中に消える星
誰かの灯火としている星
死屍累々の駄作に立つ傑作
綺麗な眺めに寄り添う不美たち
花の下々に転がる虫腹
カップ焼きそばの捨て汁
ペットボトルの底に残るもの
床に散らばる抜け毛のゾンビ
本の余白を埋める空気
吸い残している煙草の黒
思考の狭間に残った紙屑
排泄に混ざる必要因子
息子を想った父の沈黙
愛と嫉妬の母に宿る目
思い出せないあのヒトの名前
思い出せない成功の味
ぜんぶぜんぶ、生硬なもの
確からしいと、錯覚したもの
それらを集めて隣人を作る
彼を通して僕を見つめる
ただ、こぼしてしまわぬようにと
良ければなにか残してね




