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明鏡止水
澄んだカラスの目色朝
特有の匂い何度目か
硬い身体と凪いだ空
冷たい世界と温かな心
ひとつキラリと飛行機か
白翼は遠く一点の星
まだのぼりきらぬ陽射しを背中に
稜線の縁に新たな瞬き
忘却はどこか心地よく
包んだ羽毛の温もりは去り
生きようと願う想いに反面
死にたいと願うだれかがいるよ
ベランダに残る水滴と
廊下に漂う夜の残り香
さむいさむいと喚いて寸刻
どくんどくんと覚める今日だ
この朝に願う未来は今日だ
この朝に想う過去も今日だ
すべてが無意味と告げる魚を
どうにかこうにかやってけてみる
ガラスのような朝を抜け
世界の路傍で最も澄んで
どこか遠くのだれかに向けて
今日もあくびをしながら歩く
かちかちとんとん、なにかを紡いで
ありくとたんとん、サイダーの日々
ある日突然始まったけれど
書き創ることに僕を求めて
良ければなにか残してね




