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三千世界の小さな果て
真昼の空へと昇る月から
睡魔と歌声届いてか
ゆらりゆらりと臥所へいって
僕は望まぬ夢を見た
潮騒届いてゆらめく心
きらきら波間にちらつく光
星が瞬き空は動いて
夏夜に全ては冷めてゆく
ぼんやり鳴り出すいつかの音
夢の世界ではハッキリしていて
夕立のころに目を覚ましては
まったく思い出せないでいた
本当の夜に臥所は遠く
よくよく響くはあの夢の音
気づけばその音思い出してね
星に涙を浮かべていたのさ
忘れては消える記憶ども
寄せては返す波間に運ばれ
ようやく帰ってきたかと思えば
お前はまたも長旅に出る
強くこいねがう想いはならず
言葉は瓦解の一途を辿る
さながら星屑のような人となり
僕は変わらずに立ち止まる
三千世界の小さな果てに
僕らは夏夜に夢を見ていた
見上げてゆらゆら揺れ動くのは
いつか僕らが眺めていた星
そこに映るはいつかの僕らだ