第2話 謎の男との特訓
高級チーズケーキアイスを食べた翌日、サゲンとイザヨイは家の中でゴロゴロしていた。
入学試験まであと5日、普通の学校の入学試験なら猛勉強しているところだがこの世界の入学試験は実技試験が8〜9割の判断材料になり筆記試験はほとんど関係がない。だからといってだらけているイザヨイとサゲンはどうかと思うのだが昨日の事件を言い訳に冷房の効いた部屋で漫画を読んだりアニメを見たりしている。
ところがそんな時間はすぐに終わりを迎えた。
ガチャとドアが開く音がしてうるさいヤツが部屋に入ってきたのだ。
髪はくせ毛でオレンジ色で目の色は黒、目の中に白い星がある女子、シュテル。
「だらけんなよ‼︎サゲン!イザヨイ!」
イザヨイがスピーカーを使っても出ないような大きい声が部屋の中に響く。
「ウルセェぇぇぇ!!!」
「ウルセェぇぇぇ!!!」
サゲンとイザヨイの悲鳴がまた部屋の中に響く。
なんだこの町、休憩できる日はないのか
シュテルはサゲンとイザヨイの幼馴染で魔法とは別の「力」が強い。
この世界には「力」という魔法とは別の強力な能力があり魔法は「闇・光・炎・水・氷・毒・重力・岩・木・金属・音・催眠・操作」などの分類ができ、得意や不得意はあっても平均的な人は誰でも使用可能な能力だ。
一方「力」は個人または家系などで使用できる能力で変身や身体強化、魔法を遥かに超える威力の技を使用できるもの、しかし自分で決めることができず家系で継承されるもの以外は同じ能力は存在せずハズレ能力と呼ばれるほど弱いものも存在する。
シュテルの「力」は「偉大なる星の力」というもので星を出し、さまざまな操り方ができるというもの。かなりシンプルで強い力でシュテルは使い方を理解しているためサゲンやイザヨイより強いのだ。
サゲンやイザヨイも力は持っている。ただイザヨイは自分の能力がわかっていない。
この人間スピーカーは何をしにきたのかイザヨイが質問する前にシュテルが答えた。
「訓練場に行くぞ!!!!」
そんなことだろうと思ったが
「相手はいるのか?」
「1人待ってるよ!」
こいつはだいぶ人脈が広いな〜と思った。
サゲンとイザヨイはシュテルに連れられ訓練場にやってきた。
訓練場は破壊されても自動修復する管理人の力があり思いっきり訓練ができる。
3番訓練場に案内され入ると
そこにいたのは身長が2m近く白髪で髪はオールバック、目の色が赤く目つきが悪いものすごく強そうな男だった。
サゲンがシュテルに尋ねる
「誰?…このヤバそうな人」
「ここにいて強そうだったから対戦をお願いしたらokもらったの」
このコミュ強め…
男に名前を聞いた
「シンファン・ヒョウガだ」
男が答えた。
握手をしようと手を近づけてイザヨイとサゲンは同時にあることに気づき顔を見合わせた。
男の手に石の破片がついていたのだ。この訓練場は並大抵の攻撃では傷もつかない、辺りをよく見渡すと訓練場の中の至る所がひび割れていた。
「え…これってヒョウガさんがやったんですか?」
「ああ そうだよ」
マジか
空気を読まないヤツが対戦ボタンを押してしまった。
空中に対戦表が表示される
『シンファン・ヒョウガvsイザヨイ』
相手の実力がどれくらいか見るためにバッジを見る。「10級」そんなバカな。
10級レベルではこの訓練場を破壊できない…このバッジはおそらくフェイクだ
「はじめていいかな?」
妙に圧のある声でヒョウガが尋ねる
「ああ」
そう声を発した途端ヒョウガの顔が目の前にあった。
咄嗟にドンレンドハイドを打つ。がヒョウガは0、何秒かの時間で軽々避けた。
バケモンだ…この魔法は範囲内からすぐに出て避けられるようなものじゃない。
そう思っている間に無数の光のようなものが目の前に現れた。
光魔法‼︎好都合だと思い「アイラット」を使った。
通常どれだけ威力の差があっても光魔法はアイラットで自分の魔力に変えられる。
しかしその攻撃はアイラットを突き破りイザヨイに直撃した。
魔力でガードしたがかなりのダメージだ。なぜ吸い込めなかったのか理解ができない。
「驚いているね」
上からヒョウガの声がした。目視していないが上に向かってドルクアンガレフを打つ。
当然当たらず今度は右から声がした。
「俺の攻撃が光魔法だと思ってアイラットを使ったみたいだけど…」
右にドルクアンガレフを打った。また外れたようだ。
「僕の攻撃は拳だよ?」
なんだと?光魔法で加速して殴っていたのか?
「僕は魔法を一才使わない」
落ち着いた口調でヒョウガが話す。
「でも…」
いきなり隣で声がした。
「魔法が使える人よりも僕の方が圧倒的に強いよ」
その言葉と同時に視界が暗くなりイザヨイは倒れた。
「マジか…」
サゲンがありえないものを見たような声で言う
この中で2番目に強いイザヨイが手も足も出ずに負けたという信じられない事実が信じられないのだ。
「サゲン君もやる?」
ヒョウガに聞かれサゲンはきっぱりと答えた
「遠慮しておきます」
シュテルも含めサゲンとイザヨイの家に帰ってきた
あの後ヒョウガはまた会ったら戦おうと言って去っていった。
部屋の中に沈黙が流れる
「まあ……休憩する日があってもいいか」
シュテルがそういうことは珍しい。
それほど今日の訓練は衝撃的だった。
今日はシュテルも合わせてみんなでゴロゴロして過ごそうと思う。
入学試験まで残り5日
シンファン・ヒョウガ…今後どうなるのでしょうか