ゲームで後ろから壁が迫ってくるヤツ
松ララ高校2年1組18番屋良 真也
彼はそよ風になびかれながら、気持ちよさそうに目を瞑った。
彼の左腕が義手であることを忘れ、彼はなくなる前に夢を想う。
「わぁ、、、」にま〜。
彼は女体を想像していた。
彼の頭から出てくる思考ってやっぱこんなもの。
別にそれが悪いとか思わないんだけどサ。
彼には1つ秘密があった。
それは彼がみんなのことが好きだったってこと。
みんなは彼のことを忌み嫌っていたけど、彼はそれに気づかないし、好いていた。
そして好いていることを少し恥ずかしがり、隠していた。
彼が風になびかれているとひとりの蝶が姿を現した。
蝶はひらひらと彼に近づき、そのまま彼の頭に飛び乗った。
彼は口を開けて何か言っている。
「あー、、あ。」
蝶は彼が嫌がっていると思い、頭から離れて、遠くに行ってあげた。
あぁ、もう、また1人になっちゃった。
私は少し頭を抱えたあと、渋々、彼の元に立ち寄る。
「ほら、いくよ。」
「あ〜、、やー」
彼は嫌がったが、強引に引っ張って、少し道を歩かせた。
彼に道の歩き方の何たるかを教え込み、1人で歩かせてみる。
、、、、
「やっぱ、無理だよね。ごめんね。」
私は彼の手を繋いであげる。
私は彼の面倒を見なくちゃいけなくて、なかなか目的地にたどりつけない。
私は1人だけ、焦っていた。
私はどうにかしたかった。
別に私は要領のいい方じゃなかったし、得意なことがある訳でもない。
元々、自分だけで手一杯な人間なんだ。
「だからさ、、」
はは。
私は少し笑う。
「軽く先に行ってくるね!」
また1人になった彼はボケーッと空を見ていた。
彼から見える空はいつも澄んでいてとてもとても綺麗だった。
時間が過ぎていく。
その時間の中では、たくさんの蝶がたまにやってきてはどこかへ去っていくことを繰り返していた。
いつしか、彼の頭の中にはひとりの女性が考え浮かんでいた。
彼はまた彼の手を引いてくれる者を想像している。
戻ってくるって彼は信じてる。
そう信じることしか出来ないから。
風が吹く。
今日の風は少し強かった。
彼は重たい目を開けて、周りを慎重にゆっくりと見渡した。
そこにあったのは絶望感、まるで自分が死んでしまった、人生が終わってしまったと勘違いするほどの絶望感だ。
ポロポロポロポロ
彼は泣いてしまった。
今まで青く澄んでいたはずの空が黒く濁った灰色のいや〜な空に変わる。
なぜ変わるのか、彼には分からない。
でも、彼の体は指1本たりとも動かなくなった。
ズドン、ズドン。
マリオのドッスンが地面に強く衝突するような強い音が遠くの方からなっている。
ズドン、ズドン、ズドン。
その音は確実に彼の近くヘ迫っていっている。
ズドンズドンズドンズドンズドン!
彼の体は怖くて怖くて、強ばった。
彼はひとりで目を瞑る。
ーーー
彼はなくなる前に「夢を想う」。
彼は女体を想像していた。
目を瞑っても分かるくらい目の前が真っ暗になる。
彼は泣いていた。
彼は後悔した。
彼は生まれて初めて、死を理解した。
ふと、体を揺らされる。
彼は恐る恐る目を開く。
そこには、泣いて顔がぐちゃぐちゃになっちゃってる私がいるからもう大丈夫だよ。
「ごわがっだよね、、ごべん。」
「ぼう、だいじょおぶだがら。」
私は彼の手を少し強引に、優しく引っ張った。
ー終わりー
自分の語彙を上げたい今日この頃です。