表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/72

記録29 シュニィへの謝罪

 つまらない光景に腹が立つ。

 当然、何の前触れもなく現れた紅目の黒竜と、人の背丈よりもデカい剣の事を言ってる。

 何の疑問もなくそれに乗り、それを手にして、竜となったシュニィに挑みかかるカレンの事を言ってる。

 Fソフトウェア社の元祖死にゲーシリーズでは定番のシチュエーションが、あの闇と光のキセキでも踏襲されていた。

 巨人殺しの大剣だの、大蛇狩りの槍だの、特定のボス相手専用の武器が用意されていて、その武器でしかまともにダメージの通らないと言う“趣向”のシチュエーションが。

 竜となったシュニィーー蒼穹の白死竜(はくしりゅう)、シュナイデルグ打倒の為に用意されたのが、今、カレンが持っているあの“律の空割剣(くうかつけん)”だった。

 あんなに大きな剣を、カレンはひ弱な腕で軽々と振り回す。何か、わけわからない文字の連なる、金色のわけわからない光が刀身から放射されている。

 軽々しすぎて、プラスチックのおもちゃにしか見えない。

 あれでしょ。“イベント戦闘”の必須アイテムに装備制限あったら、キャラクターのステータスによって不公平が生じるから、筋力1でも振り回せるように出来てるんでしょ。

 すごいね。なんて組成、なんて名前の超合金で作ったんだろうね?

 天界とか、ああいうのがルーツの素材とか?

 何でもありだね。サタンだから?

 この「演出のためにあつらえられた装置」を現実で、それも“あたしの知る”シュニィの命がかかってる場面に持ち込まれると、ホントに虫酸が走る。

 戦いの内容については、もうあたしから言う事は何もない。

 ネットで調べれば攻略の事例とかいくらでも載ってるし、各自でどうぞ。

 こことかね。

https://ncode.syosetu.com/n1143ht/24/

 

 青竜シュナイデルグの皮膚だった破片とか、氷山の破片とか、エーテルの白金光とかが入り交じった花火を背景に、あの女はシュニィの身体を横抱きに受け止めていた。

 “竜”としての半身を殺されたあの子の身体は、見た目相応の質量に減ったようだ。

 あたしは。

 結末を知っていながら、指をくわえて見ているしかできなかった。

 シュニィは、生きているのだろうか?

 “あの子”は生きている。

 そして、これからあの女に教化されるのだろう。

 これもゲームの話だけど。

 シュニィは、竜の姿になって空を自由に飛びたがっていた。

 ゲームでは、遊び半分に。

 そしてこの現実では、レモリアの仇を討つために。

 この世界、作ったメーカーの奴らさ、

 

 あの“少年の”シュニィさえ生きてりゃ、それでいいって考えで、この設定にしたわけ?


 あたしは。

 シュニィが、そしてソル・デが生きているだけでも良かった。

 そう、思うことにした。

 今は教化されても、取り戻す方法は必ずある。

 レモリアのように、死んでしまったらその希望すらないのだから。

 ごめん、シュニィ。

 そう思わないと、あたしは多分、ここで折れてしまう。

 それはできない。

 少なくとも、今からやる事がある。

 現状、あたしにしかできない事が。

 いつか、きっと、助けにいくから。だから。

 

 そして。

 景色が氷山と霜に埋もれた景色の中。

 見覚えのある漆黒の騎士が、カレンめがけて突っ走って来る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ