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討伐

 「ぐっ……」

 左手でヴァニに一撃を防ぎ、右手でナイツの一撃を防ぐフレア。

 そのがら空きになった身体をアストリアの蹴りがとらえる。


 吹き飛ばされた身体を起こしながら……

 ゆっくりと目を開く。

 その魔王せいとの姿に……



 「右ですっ」

 そのリヴァーの声に合わせて、レインのアクアビットが移動する。

 現れるセティの姿を放たれる魔力ビームにその身体を弾き飛ばされる。

 

 「ちぃ……全く……能力には相性ってのがあるんだよ」

 そう……悔しそうにセティが呟く。



 「さぁ……決着をつけようぜ、フィル」

 その俺の言葉の横でクリアが洋弓を構える。


 「参ります……」

 放たれる矢を炎の障壁がフィルを守るように囲うが……


 「貫通つらぬけっ」

 その言葉に、光の矢が炎の障壁の中に入り込む。


 「くっ……」

 障壁を残したままフィルは新たに体内から瘴気による炎を作り出すと、

 魔王の鎌を作り出し、その矢を叩き落す。


 同時に俺の結界の壁が不規則にフィルの周囲に現れる。


 「終わりにするぜ……」

 その言葉に……


 「「  はい……

     うん……  」」

 クリアとクロハが応答する。


 「参ります……」

 和弓を構えるクリア……


 「修羅……気迫……」

 そうクロハが言葉にする。

 一日一度だけ……そう自分に限界ルールを決めていた。

 実際……その限界きまりを破る負担は大きい……


 それでも……


 クリアの繰り出す矢の数々が俺の結界を反射しながら……


 「貫通つらぬけっ」

 その矢の全てが障壁の上から、また障壁を貫通していく。


 「……二刀抜刀……雷切らいぎりっ」

 クロハの左手に握られる黄色に輝く刀……


 「刀技……電光石火っ」

 光の如くクロハの身体が戦場を駆け、光の矢と共に俺の結界を反射あしばにし、障壁の中に入り込む。


 「刀技……牙閃がせんっ」

 クリアの光の矢とクロハの小鳥丸こがらすまるの刃が魔王の身体を貫く。


 「くっ……こんな、こんな事でっ……レス、僕はっ」

 新たな瘴気がフィルの身体を包み込み……

 凶悪な瘴気まりょくに包まれる……


 「……いいぜ、出し切れ……フィル……だが、それでも、特別組おれたちは負けないからな」

 そうフィルに告げる。


 「あーーーーーっ」

 フィルが自身でも制御しきれない瘴気を解放する。


 その圧に……クリアもクロハも身動きが取れない中……


 「がぁっ……」

 そんなもの関係が無いと勇者ライトエクスカリバーが、

 フィルの身体を叩き斬る。


 「参ります……増殖しろっ」

 そのクリアの言葉に……

 放った矢が作り出した水晶クリスタルを通過し増殖し、さらに俺の結界に反射され、水晶を円型の結界で囲むとそれが永遠に増殖を繰り返す。


 同時にライトが剣を下から上に切り上げ、その斬撃による衝撃で、

 フィルの身体を上空に投げ飛ばすと……


 その周辺に俺が結界を張り巡らせる……

 同時に水晶を囲っていた結界を解除すると、

 フィルの周辺に不規則にはった結界にあたるように矢を反射させる。


 「奥義……八景飛はっけいとびっ」

 そして、同時にクロハもその結界を足場とするように、

 光の矢が幾度もフィルを突き刺し、さらにクロハの二つの刀が何度もフィルを切り裂く。


 突き落とされたフィルの身体から身にまとっていた瘴気が消え去り……


 「この世界に……光あれ」

 叩き落されひざをつくフィルの身体に……

 勇者の剣が振り下ろされる。


 血が噴出すようにフィルの傷口から瘴気がこぼれるように噴出す。

 その傷口に……


 俺はゆっくりと歩いていた身体をライトの隣……

 フィルの正面で止まると……


 右手に全魔力を送り込み……

 その傷口しょうきの中に手を突っ込む。


 「かはっ……レス……?」

 何をしているのか……そう戸惑うように……


 身体の臓器でも取り出すように……

 瘴気の源となっているような塊を抜き取る……


 「……これを」

 破壊すれば……

 そんな期待に……


 「ぐっ……痛……」

 握りつぶそうとしたそれが俺の体内に一部流れ込むような感覚と……

 受け入れきれなかった塊がその場に開放される……



 空となった魔王フィルはその場へと倒れ……

 その全ての元凶となるしょうきはそこへ形を作り……


 新たに魔王ばけものとして姿を現す。


 もちろん魔王ばけものはすぐにそのフィルの身体に帰ろうとするが……

 俺の結界に守られるフィルの身体を見て……

 諦めるようにその体をどこかに転移させた。


 「レス……」

 そうライトが何かを言いたそうに俺を見て……


 「あぁ……瘴気まおうの根源を……潰す」

 何処かに消えたその根源を断つため、そう言葉にするが……


 世界はそれを許しなどしない……

 そのフィルの言葉を思い出す……


 例え瘴気まおうを消し去ろうと、

 それは一時的なもの……

 やがて……それは器に戻る……

 だから……世界が望むことは……


 「一斉、構えよっ」

 リエンの言葉が室内に響き渡る。

 リエンが引き連れてきた弓兵、銃兵、魔法兵が構える。

 

 「まおうに止めをっ」

 そのリエンの言葉と共に一斉の攻撃がフィルを襲うが……


 俺の結界にその攻撃が阻止される。


 「……君の名前は?」

 そうリエンが俺に尋ねる。


 「……レス……」

 そう俺は名乗る。


 「……レス君、魔王討伐の協力、感謝する……後始末は私たちに任せろ」

 そう、結界を解くよう言う。


 「お父様……」

 そう戸惑うようにライトが言う。

 俺と父……両方の顔色を伺うように……


 今はただ……瘴気の根源を……


 「リヴァー……」

 俺は彼女にその逃げた先を尋ねる。


 「ここから南……学園から100M程、離れた先に……」

 そう返す。


 「……レス、そっちは俺に任せろ」

 そうヴァニが言い……


 「リヴァー案内を頼めるか?」

 そのヴァニの言葉にリヴァーが頷くと、二人はその瘴気の根源を追いかける。


 「アーク……」

 リエンがその名を呼ぶと……


 「やれやれ……」

 アークは少しだるそうに声をあげ、ヴァニとリヴァーの後を追うように姿を消す。

 残ったリエンは……


 「もう一度言う……そのげんきょうを引き渡せ」

 そうリエンが言う。


 「……お父様っ!!」

 そうライトは俺の顔を見ながら……


 「……セティ……」

 俺はその名を呼ぶ。


 「どうした……少年……先ほどまで敵対していた私に何を請うつもり?」

 そう嫌味たっぷりな笑みで……


 「フィルを……先生フレアを……」

 その能力で何処かに……


 「全く……そんな遠くにまでは飛ばせないからな」

 そう言いながら……歪んだ空間を作り上げる。


 フレアがフィルの身体を抱えその空間に飛び込み、

 それにセティと俺……ライトが続く。

 そして、空間の歪みが消える。


 「そう、遠くまでは行っていないだろう……追うぞ」

 そうリエンはその部下に告げ……


 「この期に、器を破壊する」

 そう宣言する。 

 




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