クリエイト
「どうして、ルディナちゃんは彼らと戦っているんだい?」
今、この異世界の出来事を簡単に説明は受けた。
もちろん、そのほとんどの理解は追いついていない。
それをプラスしても、やはりその答えは知っておくべきだろう。
「別に……理由なんて……」
そうルディナが顔を伏せる。
「どんな……出来事にも理由があるものだよ、ルディナちゃん」
そうナキは返す。
「……理由を知ってどうなるって言うの?何が変わるの……」
……そうルディナが答えなく無いと……
「そうだねぇ……命をかけるっていうのにさ……ルディナちゃんの理由なんてものを知っておかないと……命られないだろ?」
そうナキが言う。
「聞けば……もう協力してくれなくなるかもしれない……」
そう……ぽつりと返す。
「人をもっと……信じなよ」
そうナキが返す。
・
・
・
数年前……
「お父さん……またここに居たの?」
そうルディナが男に言う。
金床に鉄を小槌で叩く男の姿。
「ルディナか……ようやく、お父さんにもね、大きな仕事が来たんだ」
そう嬉しそうに言いながら、
「これで、ルディナにもかわいい服の一つでもプレゼントできるかもしれない」
そう言いながら懸命に小槌を振り下ろしている。
「まとまったお金が入ってくれば、お母さんも帰ってくるかもしれない」
そう……理由を話す。
父には新たな物を造り出す能力……
そして、その一度造ったものをストックして、取り出す能力があった。
それは……私も引継いだ能力。
他の能力者の武器とは違い、造ったものは壊されない限りはほぼ、永久的に維持される。
そのため、譲渡することすら可能だ。
現に街の商人は父から武具を買い、それを店で売っていたりする。
だが、能力者の魔力が発展する中で……
父の造り出す能力は、時代に対抗するには余りにも劣っていた。
そして、今回舞い込んだ大きな仕事に……
その依頼に……
寝る時間も惜しみ、幾度も幾度も魔力を鉄に打ち込む。
だけど……結果は……
膝をつく父親の前には、丹精込めた剣が粉々に散らばっていて……
「こんなモノでは話にならない……」
そう兵を引き連れた男が父にそう言っていて……
「どうか、どうか……もう一度チャンスを」
そう、父が男に請うが……
そんな父親を男は足蹴に突き放した。
話は無くなった……
それでも父親は次の日も、また次の日も……
鉄を何度も打ち続ける……
「お父さん……」
そう心配するルディナに……
「大丈夫……もう少しだから……きっと陛下もお気に召される……大丈夫、そうしたらお母さんと一緒に綺麗な服を買いに行こうな?」
そうとりつかれるように、目線は赤く燃え上がる鉄に目を向けながら……
カンッカンッと小槌を振り下ろす。
・・・
そして、数日後に……事件は……
いつもの様に、金床で鉄を叩き続ける父。
「お父さん……ちゃんと寝たの?」
そう後姿に声をかける。
「え……おと……うさん?」
父の周りを黒い瘴気が漂っていて……
「……アァ……ルディナ……モウカンセイスルカラ……カワイイフクヲ……」
瘴気が父親を取り込むと……
真っ黒な影に姿が変わっていて……
「お父さん……」
思わず恐怖に尻餅をついて……
その後、駆けつけた街の自警団に……
父は呆気なく処分された……
そして……孤独になった鍛冶場で……
私は父親の小槌を手に取って……
「私が……無念を……」
そう……父親が造り掛けだった鉄を再度叩く……
父に……私には戦闘に適した魔力はない……
だが……創造……
武器を作るのに武器に宿す魔力はやはりそれに反映される。
だったら……高い魔力が必要だ……
私は父を……父を見捨てた母を……人々を……
認めさせるんだ……
だから……それが卑怯だったとして……
・
・
・
「手に入れてみせる……最強の武器を……」
そうルディナがルキに語る。
「ほらね……くだらなかったでしょ?」
そう……ルディナは未だ顔を伏せながら……
「言ったでしょ、ルディナちゃん……」
ナキはそうルディナを見ずに……
「どんな出来事にも理由があるんだ……」
ナキがそう繰り返す。
「過去にルディナちゃんがおじさんをよんだ役目が……あったってことだろ?」
そうナキは笑いながら……
「運命なんて……ロマンチックで平凡なものだ」
そう言いながら……
「この能力で……地上に出たら、人を運ぶ輸送機として仕事でも始めようかなぁ」
そう天を眺めながら……
「この世界に似たようなものがあるかもしれないけど、おじさんの能力を見た者の反応を見る限りは、唯一無二みたいなところもありそうだったからねぇ……」
そうナキは理想を語るように……
「おじさんは魔力を消費して、飛空挺を作り出して人を運ぶだけの簡単なお仕事だ……そうだな、ルディナちゃんの造った優秀な武器を他の街に運ぶってのもいい商売になりそうじゃないかい?」
そう……これからの生活をナキは語りながら……
「後……人を輸送するには座席とか、長旅をするならベッドも欲しいね……ルディナちゃんにそれを創造もらうってのもいいね」
そうナキは理想を語るように……
「そんな商売が成功、ルディナちゃんにかわいい服の一つでも買ってあげられるよ」
そう言う。
そう……自分の役目を……名乗り出るように……
「尻まで触ったくせに……そんなに私には魅力が無いの……」
そう俯いたまま……父親の代わりを名乗り出る男に……
「20点中、1点の男でいいのなら……君を抱く覚悟はあるさ」
いつものようににやついた顔で……
「馬鹿……」
そう少し頬を赤らめるように、俯く顔をさらにナキから背ける。
「よかった……」
そう言いながらナキは立ち上がり……
ルディナは、何が?と言いたそうにそうナキの顔を見上げる。
「……やっと、笑ってくれた」
そうルディナに笑いかける。
ようやく、警戒する顔とは別の顔をに、少しだけ安心する。
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