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警報

 日常が終わる……それはどういう事か……


 異世界こちらに来て……

 どれだけ経過したのだろうか……


 日常を語れるほどには日が浅いのかもしれない。



 それでも……

 方法なんてわからなくても……



 いつもと変わることなく制服に身を通して……

 いつものように、美味しいリヴァーの朝食を食べ、

 いつものように、学園に足を運ぶ。


 席に着くと、一足先に来ていたクリアがこちらを見て、

 お互いに意味もなく笑みを交わす。


 退屈な授業を受け……

 昼休みを得て、放課後を迎える……


 いつもと変わらないそんな日々が今日も終わろうとしている……


 そして日常あしたを繰り返す……はずなのに……



 『ファーーーーーーー!!』

 その異常を知らせるサイレンは突然鳴った。

 聞きなれない音は、全校生徒に不安を与えるのには十分すぎる効果だった。


 「全校生徒に告げます……学園にブレイブ家より宣戦布告がありました……学園はとても危険な状態になる事が予想されます……学園に残っている生徒は速やかに帰宅してください……また、学園から支持があるまで、学園は休校とします……繰り返します……」

 警報に続き、校内放送が鳴り響いている……


 学園の生徒が慌てて席を立ち、下校するなかで……


 俺は呆然とその放送を繰り返し聞いている……


 ほとんどの生徒が学園が去ったことを認識すると、

 警報と放送は鳴り止んで……


 それでも……俺はその席に座ったまま……


 気がつけば、特別クラスもほとんどの生徒が下校していて……


 数名残ったメンバー……


 気がつくと、俺の言葉を待つかのように……


 自分の席についたまま、


 レイン、リヴァー、クリア、クロハ、ヴァニが俺の方に顔を向けている。


 俺に何が……できるのだろうか……


 訳もわからないまま……教壇のほうへと足を向ける……


 仲間みんなの方を見る。


 ガラリと教室の後ろのドアが開く。


 「レス……やっぱり居た」

 オトネが教室に入ってきて、空いた適当な席につく。

 続いて、アレフとミストが教室に入ってくる。


 「座ろう……」

 アレフに言われ、ミストが遠慮がちに、アレフと一緒に適当な席に座る。


 「邪魔するぞ……」

 ツキヨのその言葉と共に、クレイとヨウマが教室の中に入ってくる。


 「ファーーーーーって、さっきの音怖かったねぇ」

 マイペースにヨウマがツキヨに言いながら、ツキヨに並んで席に座る。


 「……学園の考えにも、勇者の考えにも……別に賛同するつもりはなかったからな……お前の意見かんがえを聞いてみよう」

 そうクレイが言う。


 「ちーーす、お邪魔しまーす」

 「レス様、この私にご指示をっ!」

 アセリアとクエスが同様に教室に入ってくると、

 同じように席についている。



 たぶん……俺にこの戦いを止めるなんてことはできない……


 無責任とめたとして……

 その後の魔王の被害を止める術などない。


 だったら……答えは決まっている。


 それでも……


 守るんだ……



 「学園を皆で卒業する……」

 ただ……その言葉だけを……





 ・

 ・

 ・



 「……レスは?」

 そう……ライトが尋ねる。


 「……いや、もう少し待つか?」

 そう、アストリアがライトに返す。


 「……いい……彼は必ず来てくれる」

 そう疑わないようにライトが言う。


 ライト、アストリア、スコール、ナイツにイザヨイなど……

 ライトを支持する数名の優秀な生徒が並んでいる。


 また……学園の外からもブレイブ家に仕える優秀な使者と、

 国から支援された強力な兵が揃っている。


 「今日という日のため、私はここまで来た……今、世界ひとびとのため、魔王をこの手で討ち取るっ!!」

 そう剣を天に掲げ……


 「わたしに続けぇーーーっ」

 大勢の生徒がその声にこたえる様に……

 


 ・

 ・

 ・



 学園長が……学園にある地下深くのどこかの一室で……

 

 「君たちはもう劣勢などではありません……」

 そう目の前の生徒達に告げる。


 「優秀もつ奴らは我らを不正だズルだと言いますが……屈辱に塗れ、そしてやっと手にした能力きぼうなのです……恐れないでください、ようやく手にした力を……抗うのです、覆すのです……低俗わたしたちにも生きる資格はあるのですからっ!!」

 そう学園長が叫ぶ。


 学園側にもまだ、たくさんの生徒、強者たちが集っている。

 ……大会には顔を出していなかったものも……

 学園の教師や学園に加担する大人たち……


 そして、それらは魔王の力により優秀な人間に匹敵する能力を得ている。


 「力ある、能力者が富も名誉も得られる正義だと言うのなら……それを証明するのですっ!!」

 その声に学園側の人間もこたえるようい声をあげる。


 ・

 ・

 ・



 そんな戦線開始を思わせる雄たけびが魔王かれの牢獄まで響く。


 「始まったか……」

 そう、呟くように教師フレアが言う。


 「先生あんたはどうするの……」

 そうフィルがフレアに尋ねる。


 「責任はとるさ……それくらいには大人のつもりだ」

 そうフレアが答えにならない答えを返す。


 「ねぇ……レスは僕を……いにきてくれるかな?」

 そうフレアに尋ねる……


 「たぶんな……」

 そう呆気なく返事をする。


 どちらも助けられなければ……

 天秤にかけたときにどちらを救うか……


 トロッコ問題としては、あまりに分が悪い。


 「怖いか?」

 フレアがそう尋ねる……


 「ううん……」

 そう小声で否定する……たぶん強がりではない。


 「言わなかった……僕は死んでも復活するんだ」

 そうさびしそうに笑う。


 「何十年……何百年後の話だろ……」

 そうフレアは……


 「そこは、私も……レスも居ない世界だ……」

 そう返す。


 「……確かに寂しいけど……きっとその時代にもモノ好きはいるかもしれない」

 そんな儚い命を……惜しむことがないように……


 「二度も言わせるな……そんなモノ好きが居ても……それは……」

 それは……


 「……私でもレスでも無い……」

 別の人間だ……


 「言われなくても……知っているさっ」

 そう……少し怒るように強い口調で……

 だからってどうしようもない……

 

 ただ……生きることが生きていることが……

 あんたの彼の邪魔をする……障害になる……

 だったら……僕のできることなど決まっている。


 「……うそをつくな……」

 そうフレアは寂しそうにフィルを見る。


 「……魔王おまえはずっとずっと人間わたしたちよりも……生きることに必死だ……その資格を持っている」

 そう……鉄格子の隙間からフィルの頬を触れる。


 「もっと……欲張れ……本来、魔王ってのはそういうものだ」

 そう……寂しく笑う。


 「………ぅ……く……」

 一度、頬に触れたその手を振り払おうとしたが……その手をそっと握るように……


 「ほら……ちゃんと泣けるじゃないか……」

 いつの間にか涙を隠すことすら忘れて……


 「辛い時は泣けばいい……助けてほしければ……」

 そう……教師は……


 「教師わたしを頼ればいい……それが教師わたしの仕事だ」

 そう優しく微笑む……



 ・

 ・

 ・



 それらの、彼ら彼女らの思惑は俺も彼らも彼女らも互いの思惑を知らない……


 いや……知らなくていいんだ……


 守るべきものは……それぞれにある。


 それは、きっと間違いでも悪でもない……


 そして、それらは全て、正解で間違っている……


 だから、誰かを……責めるべきではない……


 ただ……自分が思う正しいことを……



 だから……誰が、どれが正しいかなんて、今の俺には判断できない。


 だったら……どうする?


 得意の「全部、護る」と言ってみせろよ……


 そう……今回の俺にはそれは無理だ……知っている……


 だったら……何処を目指す……誰に協力する?


 誰も裏切らず……ただ学園を護る……


 そんなことは不可能なのは知っている……


 教壇の前に立ち、馴染みのクラスメイト……

 そして、集まってきた数名の生徒……


 彼、彼女はどんな言葉を期待している?


 何が最善か……どうなると最悪か……


 ゆっくりと俯いていた顔を上げ、まえを見る。


 「学園側には……加担しない……」

 そう俺はゆっくりと……

 彼ら彼女はどう思う……


 「勇者ライト達にも……加担はしない……」

 そう……言う。


 「敵対するつもりもない……ただ、魔王を討伐するのは俺がやる……」

 いや……俺にはその力は無い。

 だから……仲間の助けが必要だ……


 「……辿り着くまでに、学園……反逆者がわとの多少の対立があるかもしれない……」

 たぶん、バトルは避けられないだろう……


 それでも……俺がフィルとフレアの元へと辿り着かなければならない……

 ライト達よりも先に……


 もちろん、それで結果が変わるわけじゃない……


 「正直……正しい自身はない……それでもついて来てくれるものだけ……ここに残ってくれ……」

 反逆者……学園……教師……そして……無能者おれによるそれぞれの主張が終わる。


 数分がたち、再び教壇の前を見る。


 変わらぬ風景……



 「レス……何度も言わせるな」

 そうヴァニが……


 「俺はお前についていく……勝手に置いていくんじゃねーぞ」

 そう俺に言う。


 「レス……ずっと一緒」

 そうクロハが答える。


 「レス、助ける……約束した」

 オトネが俺に言う。


 「俺もこいつも他に行く場所が無いからな……」

 そうアレフが戸惑うミストを見ながら……


 「レス様……この魔女わたしにご支持を」

 そう、クエスが言う。


 「お前との護衛けいやくが終わったわけじゃないからな……」

 ツキヨの台詞に、クレイとヨウマが同意するように……


 「あなたの築き上げた絆はそう簡単に断ち切れませんね」

 そうリヴァーが俺に言う。


 「……レスさんが私のおもいを護ってくれました……今度は私がそれに答えたいのです……私の願いはただ……レスさんと皆と卒業をしたい……それだけですから」

 そうクリアが俺に告げる。


 「言ったはずだ……」

 ムスっとレインは腰に手をあてながら、


 「貴様の主は私だと……その私が貴様の自由にしろと命令いったのだからなっ!!」

 そうレインが俺に返す。



 「目指すは魔王、目指すは最下層……ライト達よりも先にそこを目指す!」

 それに答えるように皆が声をあげる。


 たぶん……勇者も教師もその身を犠牲にしても使命を全うしようと言うのだろう……


 学園と反逆者……その対立に横入りし、三つ巴を悪戯に作り出すように……

 

 そして俺は最下層を目指し、


 魔王はそんな俺の到着を待っているのだろう……



 待ってろ……フィル、俺が今……そこに行くから。

ご覧頂きありがとうございます。


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