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終曲

 「それを語るは本心か偽りか……その言葉アルカナは示す……その女の使命れんあい勇者しめいを捨てる……」


 ゲートをくぐり……ライトが歩いてくる。



 「……レス、私はね……君が今、こうして私の隣に同じ世代を生きる者として存在していることに感謝している……例え、それが私を愚かと評価しても……」


 魔術師と恋人達の仮面アルカナが宙に浮かび、その駒は瘴気をまとい、仮面を装着する。



 フレア、スコール、狐面、ツキヨ……


 ミルザとクロノもその場に姿を現す。



 そして……セシルの目の前にゲートが現れると。



 「ここは……」


 エリードが強制的にその場に召喚されるように現れる。



 かつて、自分がその短剣を突き刺されたように、

 目の前のエリードに短剣を突き刺すとその瘴気を体内に吸収する。



 そして、ゲートから伸びる触手が現れたばかりのエリードを退場させる。



 「……失敗するわけにはいかないんだ……世界ねがい創造つくるんだ…」


 ……いったい何が企みなのか……


 化け物を産んでは、俺の仲間を呼んではそれを駆除させ、また退場させることを繰り返している。



 「これが……新しい世界の創り方……」


 俺の疑問に答えるように……



 「フィーリアちゃん……僕は……僕は……ねぇ……」


 懸命に理由いいわけを探す……



 「それは……完璧なる理想……僕は……希望アルカナを紡ぐ……」


 世界というその言葉アルカナの仮面をセシル自身が装着する。



 「攻めきれない優しさ……それは貴方の弱点みりょく……」


 フィーリアはそんな仮面をつけるセシルを見つめながら言う。



 「ミルザを守る……妹を守る……」


 クロノがその使命を口にしながら、弓矢を構える。



 「リーヴァを守る……あの子は、ただの少女だ……」


 ミルザが短刀を構える。



 「……魔王もんだいじを抱えて……その始末に追われていた……それでも特別組あいつらを卒業させてやる……そう糞生意気な生徒レスと約束したからな……」


 フレアは両手に手甲を装着しながら、セシルを見る。



 「今更……どんな現実を突きつけられようとも、レインは俺の妹……数日前までこの俺が遠ざけてきた存在だ……それを否定はしない……そしてその狐面リヴァーが本当の妹だと今更……言われたとしても……俺は今を変えたりはしない」


 スコールの周囲の水蒸気が集まり武器を作り出していく。



 狐面はただ……黙ってその右手に巨大なハンマーを作り出してその肩に乗せる。




 ツキヨは黙って俺の前に立つと、桃色の刀を抜く。



 「認められたい訳じゃない……そんな願いをかなえたい訳じゃない……私はあんたの物語の片隅に存在していた……そんなちっぽけな価値そんざいで構わない……あんたの物語きおくに残る私を……存在を示せ」


 そんなそれぞれの想いを聞こえているのか聞こえていないのか、フィーリアはただ上空の盤を眺め、一手を思考する。



 彼女にとっての俺たちは神に対抗する駒に過ぎないのかもしれない。


 魔術師の仮面の化け物。


 それに……



 「フレアさん、スコールさん、リヴァーさん、ツキヨさん」


 その仲間こまを宛がう。



 恋愛の仮面。


 「ライトさん、ミルザさん……クロノさん」


 その駒を宛がう。



 そして遅れてゲートがまたひとつ作り出される。



 現れる女性……



 黒い髪……黒いスーツ……


 人類最強の母……イロハが現れる。



 ライトの見極りとは違い、悪戯にその瞳を泳がせながら……



 「……願いが世界を創造する……その魔術師は……その恋愛は……君たちに何を願わせた……僕は何をかなえればいい……」



 フィーリアの策略、ライトとイロハの実力。

 それらは、その仮面アルカナの討伐という使命をあっさりとこなす。



 「世界……その世界は何を望む……その理想は……何を望む……行き詰まりなど許されない……僕は、僕がっ!!」


 セシルの背の六つの翼が、周囲の瘴気、エリードの魔力、ノアの魔力を集結させるように……終わりを迎える。



 「その後悔は……言葉アルカナを答える……それは意識革命しんぱん……」


 俺以外が真下から現れる渦から伸びる触手に囚われ、その姿が渦に飲み込まれていく。



 「レス……負けない……私たち……世界……救う」


 黒髪のショートカット……クロハがゲートをくぐり現れる。




 「……今日のように覚えているさ……お前に殴られた日のこと、お前に……守ってもらった日のこと……」


 ヴァニが同じくゲートをくぐりながら言う。



 「レス……俺はお前のために……俺のために………さぁいこうぜ、そこが楽園だろうが地獄だろうが……俺はお前の行く道に続く、それだけだ」


 ヴァニが手甲を装着する。



 「貴方の好きを守りたいのです……貴方の好きを共有したいのです……」


 クリアがゲートをくぐり現れる。



 「あの日、私に重ね合わせてくれた趣味わたしを……あの日も守ってくれたすきを……ただ共有したいのです」


 クリアが弓を構える。




 ただ……黙って……水色の髪を揺らし歩いてくる。



 「時間など存在しない……記憶など打ち消そう……儚き記憶じかん……をただ、眠らせよう」


 レインが俺を見て……その後、セシルを見る。



 「……記憶ねがいは蓄えた……創造しよう……僕らの役目を……奴を出し抜く為に……僕たちは……」



 世界の仮面を装着するセシルがその魔力ねがいを瘴気に変え俺たちの前に立つ。




 俺は右手に魔力を宿す。

 ゆっくりとただ……俺に許される能力で……



 セシルの魔力を掻き分けて……その仮面を掴み取る。



 そして仮面それを剥ぎ取り……




 「願いは……聞き入れた……」


 セシルはそう一言告げると……



 真っ白な世界の空が割れるように……



 「父上レゼス……」


 空を割り現れた……セシルが戦艦のような機械を眺め言う。



 セシルとレインの父がその場に現れる。



 正真正銘……それが最後のバトルになるのだろう。

 



 

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