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仮面

 セシルが手にしていた盤が空中で広がる。


 一つ欠けた駒。

 だが、また一つの駒がことらに王に手をかけるように動く。


 そして、セシルが取り付けたばかりの仮面は空に浮かぶとその駒の顔となる。



 瘴気をとりいれるように、

 紳士的な男を形とるように、サーベルを構えた黒き瘴気が立っている。



 「位置するのは夜空……言葉アルカナそれを語る……不幸を知るから幸せだと……弱者だから強者を知ると……そんな表裏一体むじゅんこそが真実ひょうりいったいだと……」



 セシルが新たな仮面を精製する。



 そして、ゲートを通りまた一人の男が現れる。



 「矛盾……ね……考えてもみてごらんよ」


 やれやれと……疲れた目線でマナトやセシル、こちらを見る。


 「例えば……剣術に階級があって、その一段の能力者を強者とした時に、不正なにか一段そんな、強者しか居ない世界があったとして……同じ能力者にんげんしか居ない世界で、君は強者なのかい?」


 そんなナキの言葉に……

 完全に言い負かされるようにマナトは……瞳を下に向けながらも……



 「それでも期待チャンスは平等に与えられるべきだ……指導者として、その進化を導くべきだ」


 そうマナトが告げる。



 「導くのなら……それは立派な期待だよ……それなら、自らを歩ませろ、止まっている誰かに……期待するから……それを与えるから不正だとおじさんは言っている」




 ゆっくりと……見えない結界の外。

 隔離されたこの空間の外。


 新たに歩き現れる人物。




 「ふん……なるほど、レス……運命を背負うか……我を抜きに随分と勇ましい真似をしているではないか」


 キリングがその外からこちらを見ている。


 その隣をセキラとリリエットが立っている。



 そして、そんな彼らと一緒に行動していたかのように、

 ミルザとクロノも現れる。



 そんなマナトとナキが、セシルに呼び出されるようにその場に現れる。



 そして新たにそれとは別に8個もあるゲートを……

 一人、また一人と潜ってくる。



 「レス……来たよ」


 二十歳前後の水色に近い白い髪。

 俺以外の者に興味などないように、その瞳をこちらに向ける。



 「黙らせる……?」


 俺にそいつをどうするか問うように、刀の鞘に手をかけながら聞く。



 「……誰にもその言葉そんざいを理解されなかった、努力あんたは認められなかった……そんな世界を否定したかったのではないのかい?」


 そんなセシルの言葉に……



 「うん……レスが私の言葉を聴いてくれる受け入れてくれる……私はそれだけで十分、だからさぁ……あんたは黙れっ」


 「抜刀……破邪暗黙はじゃあんもくっ……」


 レヴィが刀を抜き、俺の隣に立つ。




 「こんな能力を持ったところで人生のやり直しなどできない……」


 オレンジ色の長い髪、制服の上着の腕の部分を腰のあたりでしばり、腰巻のようにしている。

 レイフィスがまた現れたゲートをくぐるように現れる。


 「障りに落ちる……そんな理不尽、そしてそんな犠牲の中……自分がその悪に呑まれそうなところ、救ってくれた救世主だれかは、最後にはその犠牲になった……そんな時間を取り戻したいのではないのかい?」


 そんなセシルの言葉に……



 「望んだよ……懺悔したさ、何度もね……」


 ゆっくりとレイフィスの瞳がセシルを睨む。



 「それで……許されるなんて一度も考えてもいないけどね……せめて、そんな言葉に……期待した人間になる……それが償いかはしらないけどさ……そんな最強を超えることが近道つぐないだと……不正して最凶を手に入れようとした私の言えた台詞じゃないけどさ……それでも、私は……それを君も手に入れたのさ」


 そんな欲望きたいを拳に託す。



 「……期待、それに答えられない父親ひとを見てきた……」


 少し絶望した目線で新たにゲートをくぐって来た女が言う。



 「一人の不適格な王に……その権利に全てを奪われた……そんな運命に抗うことにぼくに願わないのかい?」


 セシルが現れた女性に問う。



 「……そんな私の在り方を教えてくれた人がいる……そんな私を守ってくれるとそんな人が居る……卑怯でもいい……私はただその手を離したくないっ離さないからっ」


 ルディナはナキの隣に位置すると、

 右手でそのナキの左の袖を控えめに掴む。



 「くだらん……そんなけんりの前で、我に指図するな」


 現れたばかりのキリングがこちらに向かって言う。



 「……何を望む、何を手に入れたい……僕がそれを提供してあげるよ」


 そうセシルがキリングを見る。



 「我を誰だと思っている……貴様に貰うまでも我はそれを手に入れる、だが……そんなこの俺が成しえぬことを……そんな手段で我を楽しませる……レス、そいつは我の友だ……この俺が認めた男だ……きさまごときが並んでいい男ではないぞっ」


 耳の豪華なピアスを揺らしながらキリングが凶悪な笑みをセシルへ向ける。




 「えーーー、あたしな訳ぇ?」


 ゆっくりとゲートをくぐり、嫌悪そうな顔を向ける女性。



 飴玉のようなものを口にしながら、その場に現れる



 エトナはダルそうに周りを見ながら……



 「どうぞ、ご勝手に……」


 そんな一言で片付ける。




 「眠い……だるいなぁ……なんで、ボクぅ?」


 同じくファラが現れたゲートをくぐりながらも文句を漏らす。



 「レスちゃん、私、わたしはねぇー」


 白色の長い髪を揺らしながらゲートを潜り現れる女性。



 「……父親、そして母親までもが……そんな運命の犠牲となる……それに君は納得できるのかい?」


 そんなセシルの台詞に……



 「わからない……でもね……私にはクレイちゃんとね、ツキヨちゃん……そしてそんな場所を守ってくれたレスちゃんがね、居てね……そんなレスちゃんの周りにはたくさんの人が居てね、私はそんな中の一人で居られるの」


 「だからね……レスちゃんを困らせる人は……私は許さないんだよぉ」


 周囲に舞う黒い霧を逆に取り入れるように、ヨウマがセシルに言う。



 

 「……抜刀、無名刀……名を叫べ紅桜っ」


 クレイが刀を開放しながらゲートを潜り現れる。



 「二人からは誰よりも……そんな期待に答えたかった……こんなにたくさんの凄い奴に囲まれている……それでも、あんたにも期待してほしかった……ここまで、それは適わなかったけど……今、ここでそれを成すよ」


 俺を合わせ11人の人間がそこに立っている。



 再び、上空に盤が浮かぶとすでに王手のかかる陣営にさらに駒が追い討ちをかける。



 その駒に再び、セシルの仮面が取り込まれる。



 黒い瘴気……かたちどった人型の化け物。

 両手に凄まじい魔力を帯びている。



 「その皇帝アルカナは問う、その言葉プライドは何を願う……そのアルカナは語る……その言葉かのうせいは何を願う……それにぼくは問う……満足にそれを成せない君たちはそれになぜ抗う?」


 集う、集めた俺たちを眺め、セシルがその瞳を向ける。


  





 

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