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ナンバー(2)

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 「なに……してるの?」


 薄い赤茶色の髪の男が、世界の中心、

 真っ白な部屋で、父が留守の中で扱い方もろくに理解していないのに、

 ぐりぐりと、何やら機械をいじっている……


 小さな薄い水色の髪の女性に継げる。



 何やら7つある装置の一つ。

 複雑なつくりをしていて、それら7つの装置の中央には何やら不思議な石が装着され、彼女が懸命にいじっていたダイヤルをまわすと、そこから流れ出る電流のようなものの、色や勢いが変わっている。



 「召喚石……だっけ」


 セシルは父の言葉を思い出すように……


 「異世界の人間を呼び出せるんだっけ……?」


 セシルは少女に向けていた瞳を、そこから少し離れた、彼女がいつも懸命に眺めている映像に瞳を向ける。



 「そんなに……会いたいんだ?」


 その気持ちが理解できないというように……



 「何を……している……」


 セシルも少女も……いつの間にか居る背後の人間に恐怖を感じるようにビクリとする。



 二人が父と呼ぶ存在。



 「……また、あのくだらない異世界の人間か……」

 「リーヴァ……言ったはずだぞ、感情は持つなと……」


 「我々は神……絶対的な存在……世界を支配する存在なのだと」



 「やっ!!」


 召喚のチャンネルなんて合っていない、それでも……

 一生懸命、彼女がいじっていた何かのダイヤルをいじろうとする父に……



 「ねぇ……父さん……僕、やりたい《《遊戯》》が……あるんだ」


 それは、彼女のため……それとも自分のためなのか……


 それでも……

 感情を捨てきったちちでさえも……


 その心臓せかい……退屈という言葉に……

 その遊戯ことば誘惑みりょくがある……


 そんな言葉を……



 自分セシルの横を横切り、リーヴァからその装置のダイヤルを奪おうとした父の背中に告げる。



 「(父さん)……言ってただろ、感情を捨てるため、世界を知るため支配するため……外を見ろってさ」


 父と呼ばれた男は、黙ってその手を止め、セシルの声を聞いている。



 「なんだ……言ってみろ……」


 背を向けたままセシルに問う。



 「その召喚石を……世界にばら撒く……この世界で言う時間帯はバラバラに……そして、その召喚石が全て同じ時間ばしょに集まった時……遊戯を開始、その勝者にさ……世界の一部を変える権利を与えたいんだ」


 「馬鹿なことを……」


 場合によっては自分たちの存在が危うくなる……



 「心配はないよ……過度な願いなど世界は許さない……」

 「できるのは……僕たちができる範囲だ……」


 未熟な自分と、リーヴァを見る。



 「リーヴァを神として外に送る……さすがに未熟すぎるだろうからね……巫女ごえいをつける……」


 そんな提案を……無言で父は聞いている。




 ・



 ・



 ・



 炎……稲妻……氷気……自らの能力いとを通し、

 カイがその能力トラップを受け止める。


 「なるほど……」


 カイは何事もなかったように、そのダメージを気にすることなく、

 瞳をセティに向ける。



 「たく……もっと困ったり、辛そうな顔をしろよ、可愛げないねぇ」


 セティはそんなカイを見る。

 とは、言え……能力の相性の悪さはセティの言うとおりだろう。



 だが……同時に……いやな予感……

 その予感と同時に……



 ドンっと、左右にある入り口ではなく、

 何もない真っ白な壁を突き破るように……



 「あーーー、いたいたーーー探しましたよぉ、ストリングさぁん」


 真っ白な髪……オメガ=ルインが壁を破り歩いてくる。



 「まーーた、勝手に喧嘩ふっかけて何気にピンチなんじゃないですかぁ、自業自得ですよぉ、僕からも言って聞かせますから、見逃してもらえます?」


 そんな彼の様子に構える周囲に……



 「いやだなぁ……僕も必要以上には争いたくないんですよぉ」

 「僕はねぇーーー、ただ……神を壊す……目的はそれだけだ」


 ゆっくりと目線をリヴァーに向ける。

 俺は咄嗟にリヴァーの前に割って入り能力けっかいを創る。



 同時にスコールの水の魔装具、クロノの黒の矢がオメガを取り囲み、

 リヴァーの水撃が一度に向かう。



 オメガはいつの間にか両手に手にしたトンファーのような武器をくるりとまわす。



 「消滅はかいする……」


 右手に握ったトンファーで空間を横に斬るようにただ動かす。



 そして、その攻撃は全て彼に届くことなく……

 


 スコール、クロノ、リヴァーの身体が揃ってはるか遠くの壁に叩きつけられる。



 「……やめてよね……加減が難しいんだ……」


 殺してしまうところだった……と言うように……



 「何が目的でここに来た……」


 俺は自分の結界が全く役に立たなかったことの同様を隠しながらオメガに尋ねる。



 「言ったよ?」


 そう惚けたようにやさしい笑みを向けながら……



 「僕の存在は……神を壊す存在なんだって……」


 「……犠牲の中で手に入れた……予知が……全く働かない……神域の力と……転生者以外には、ほぼ発揮できていたはずなんですが……」


 リヴァーが……そのオメガには、それらに匹敵するだけの力があると……



 「あは……笑えねぇ、まぢやべぇじゃん……そいつ」


 ソアラはオメガを前髪で隠れた瞳で見る。



 「確かに……規格外過ぎるねぇ」


 セティがオメガを睨みながらも手を出せずにいる。



 「僕もさ……やり合うつもりはないんだけどさぁ……神様ってのに会うのに必要なんだろ……」


 オメガがクリアを見る。



 「そこまでにしときな……」


 突如現れたゲートを潜り現れる……長い紫色の髪の女性。



 「インフィ……ニティ……」


 カイが……その女の名を呼ぶ。

 俺が知る名と違う名で……



 「まいど……レス君、景気はどうだい?」


 ついこの間まで……転生者《7にん》の中で、一番……突出している者が要るのなら……神代理、その器にあったフィーリアだと思っていた。


 だが……思えば……この女は……



 「聞いたことがある……ここ数年で、国の特殊部隊を築きあげた異世界さすらいの大商人が居ると……」


 レイムが現れた女を見ながら……



 「リプリス……さん?」


 俺は彼女をその名で呼ぶ。



 「……富と情報……そしてその財力で、そんな部隊すら創り上げた人物……そして、その数体は……彼女の手によって能力が激的に強化されている……」


 レイムが続ける。



 「……安心してよ、学園長だれかみたいに……瘴気とかに頼っていない、私の能力で、ちょっとだけ五人程度なんにんかの能力をいじってみただけだ……」


 そこに居る二人を見ながら言う。


 「あんたの本当の力って何なんだよ……」


 オーダー……異世界の物を持ち出す。

 また……他人のスキルを一時的に拝借かいとる……

 そんなものだと思っていたが……



 「レス君……この異世界の神にたてつくというのは、君にとっては悪かい?」


 インフィニティ……仲間にそう呼ばれたリプリスは俺にそう尋ねる。



 「神代理……それに興味は無かった……もともと、私の本命てきは一つさ……この異世界せかいにとって、そんな神のお告げがどれだけ絶対でどんな正義だったにしてもね……そんな私が悪だと言ってたとして……正義なんて言葉はいつだって曖昧で……私たちの勝手な都合に過ぎない……」


 「正義そんなことばは……語り手の視界ってだけでさ……勝手に美化されているだけなのさ……」


 ゆっくりと周囲を見渡しながら……



 「正義それは自己肯定に過ぎない……自分の起動原とする言葉それに過ぎない……それに反するものはただ悪なのかい?」


 なんの能力ぶそうもしないまま……その身体を部屋の中央に位置を取る。


 「結局……何が言いたい?」


 セティがリプリスに問う。



 「……別に……ただ、言葉しれごとで返すのなら……こちらこちらで……正しいせいぎがあるんだよ……視点みえかたが違うだけさ……」


 武装もせず……無防備に……その身体を晒す。

 何かを試すように……



 「まだ……時じゃない……」


 これだけの敵に抗う力を示すことなく……

 それでも、それだけの威圧ことばを……



 「ここは一つ……解散しようじゃないか……扉に触れるのはまだ早い……私も君たちも……」


 そんな言葉をリプリスは全員に送る。



 「クリア……、レイン、リヴァーの安全が約束されるってなら……そもそも、この先には興味など無いからな……」


 俺はその言葉に肯定するように返す。



 「……うん、レス君……その交渉を受けよう……彼女たちに危害を及ばす者が居るのなら……私たちが相手をする」


 邪神組に目を向ける。



 「クロノ……ここは引く……」


 ミルザはクロノにそう告げると、協会の出口を目指す。



 「まいど……解り合える、未来を期待しているよ……レス君」


 リプリスもそれに続き出口を目指す。

 その後ろをオメガとカイが続く。



 「干渉するのも……利用されるのも御免だからね……」


 セティが同じく背を向けて、出口に歩いていく。



 「……興味はあるけど、確かにこれ以上関わるのはごめんかな」


 ソアラも続いて部屋を出て行く。



 「それでは……私たちも……」


 青い長い髪……

 レイン以上に、スコールに近い髪の色……


 リヴァーも出口を目指す。



 「恨んで……いますか……いいのですよ、その資格は貴方にはあるのですから……フィーリアさんが敗れたあの日……私の中に……すべての記憶が蘇りました……」


 出口を目指したリヴァーがこちらに頭だけを振り返る。



 「偶然なんかじゃなくて……必然だったのです……貴方がこの異世界せかいに来たのは……一人の少女が望んだ英雄ぎせい……残酷……ですよね」


 そんな言葉ひとことで懺悔するように……



 「こんな俺が英雄ぎせいなんて思ったことは無い……異世界そんなで俺を不幸ぎせいに思ったことは無い……」


 俺はリヴァーに返す。


 「ただ……悪いけど……お前が……自分を正そうとしてもさ……俺にとって、お前はリヴァーで、こいつはレインだ……」


 ポンとレインの頭に手を置きながら……



 「……それだけは俺の正義いつわりだ……」

ご覧頂きありがとうございます。


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