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キツネ面

 「クリアを助けろ……こんな状況であんたは何言ってるんだ」


 俺は周囲のスノー家に雇われた傭兵が達が倒れている様子を見ながら言う。


 「答えがさ……見つからないんだ……裏切り者を……かつての師を……追え……そんな命令を下され……世界の果てまで追って……それでも俺は……」


 眠そうな目をこすりながら……



 「ミルザを追い……リーヴァを始末する……それが貴方に与えられた使命です……それを放棄して、邪心の下に落ちたなんて話を聞いたとき私は……」


 マシロはそんなクロノの姿を見て言う。



 「ミルザは俺たちが尊敬する師だ……リーヴァはそんな師が大切に育てようと思った義理娘だ……それを俺が始末するなどできない……」


 そんな言葉と同時に放たれるディアスの一撃を回避しながらクロノが言う。



 「……どちらにしても、今の……彼女を始末することなど、俺には到底かなわない話だろうけどね……」


 クロノは眠そうな目で遠くを見る。



 「だったらレスの問いに答えよ……なぜ、この場所すのーていを襲撃しているのかっ」


 アストリアは俺に代わりその言葉と共に拳を振り下ろす。



 「言ったはずだ……クリアに会いにきた……そこで邪魔だったから排除しただけだって……ね」


 疲れた目で笑いながら言う。

 拳を黒い弓を盾にして防ぐようにしている。



 「あ~~、眠たい……ゆっくり……眠りたいのに……」


 それができない理由はわからないが……

 クロノは眠そうな目をこすりながら……


 少し距離を取ったアストリアから冷たい空気が流れる。



 「神域魔力……いや……少し違う……」


 クロノのダルそうな目が少し真剣にその魔力を見る。


 「神氷魔力化グラム……」


 油断すれば、その身体を一瞬に氷ずけにされてしまいそうな……強い魔力。

 神域魔力……その力が弱まった世界で……

 それに匹敵するだけの力……



 一瞬で自分クロノの目の前に迫った姿を捉えることができず……

 振り下ろされる拳を全身で受けながらも……


 クロノは眠そうな目を見開くように……笑う。



 「俺が犯した罪は……その程度の痛みで……許される事はない……こうして俺は……黒に染まった……その理由が……ミルザ……師の……その償いだと言うのなら……」


 「罪悪魔力化アザトース……」


 その悪式魔力は、神氷に匹敵するように……



 「くっ……」


 繰り出すアストリアの攻撃が、クロノに相殺される。

 少しだけ自惚れに近い自信があったように、悔しそうな顔をするアストリアが……



 「レス……ここは私が引き受けよう……お嬢の下へと急げ……お嬢を救えるのはレス……たぶん、貴様だけだ」


 アストリアは身体と顔をクロノに向けたまま、瞳だけをレスに向ける。



 「アストリア……」


 目の前の強敵に……その身を案じるようにその名を呼ぶが……


 「私を誰だと思っている……」


 そう、不適にアストリアは笑みを浮かべ……

 周囲がペキペキと凍り付いていく。


 「なるほど……でも……」


 自分もそれに負けていないと……

 黒い弓を構え、矢を急速で放つ。


 アストリアの横を通り過ぎて俺を狙った矢を……



 「さっさとお嬢のもとに行け、そう言ったはずだ」


 右腕を右につき伸ばし、その漆黒の矢を右のてのひらで握り受け止める。


 俺はそんなアストリアの努力を無駄にしないためにも……


 そんな二人の戦いを横目に、スノー邸の中へと足を運ぶ。



 駆け足で……何度か訪れた彼女クリアの部屋を目指す。


 階段を駆け上がり、一つの部屋を目指す……


 そんな俺の接近を許さない門番を気にすることなく……



 「クリアっ!クリアーっ!!聞こえるかっ」


 俺のそんな叫びに……


 「レス……レスさんっ!!」


 ドンと強くドアに体当たりするように俺の名を叫ぶ。



 よかった……無事だな……

 その声に少しだけ安堵する。



 「助けるから……必ず……」


 俺は……そう彼女に誓う。




 ・  ・  ・




 飛空挺が飛んでいる。

 その上にナキが載っている。


 砲台から……全てを飲み込むビーム砲が飛ぶ。



 キツネ面の女……避ける動作もせず、黙ってそのビームが自分のもとに到達するのを待つ。


 そんな彼女の寸前で見えないけっかいに遮断される。



 そして、そんな飛空挺の下を歩くミーシアは白い霧に包まれ……


 「別に……黒幕おまえに興味など無いんだけどね……」


 ミーシアの姿が……奈落に居るリスカの姿に変わる。



 突き出すナイフをキツネ面も取り出すナイフで相殺される。



 そして……



 「毎度……」


 「オーダーウェポン……雷切らいきり……」


 黄色く輝く刀を手にする女性……

 リプリスがキツネ面と対峙するように……


 「オーダースキル……電光石火っ」


 キツネ面はその面のしたで白い歯を食いしばるように笑い……


 リプリスに差し出した右手……指鉄砲を銃口ゆびさきを右に向けると……

 その進行がキツネ面の右手に反れる。



 「全く……てめぇは誰だよ……たく少年……そいつの正体くらい明かしてから、立ち去れよ」


 セティはそんなキツネ面を睨むようにその場に姿を現す。


 「おや……転生者が勢ぞろいだね……」


 キツネ面はうれしそうに……



 「せめて……ボーイとこれ以上……関わるな……そうだね、おじさんが、ボーイにしてあげられる優しさだよ」


 飛空挺の上からナキが言う。


 「壊す……壊せ……壊れろ……僕に成せることなどそれだけだ……だから貴方それを壊してあげる……別にそれが僕のこれまでの償いになるとは思ってはいないさ……」


 再び、折りたたみ式のバタフライナイフの刃を起こしてリスカが言う。



 「まいど……」


 そう、リプリスはキツネ面に笑顔を向けながら……


 「結局……何がお望みなんだ……まぁ、私なんかにそれが提供できるとは思わないけど……」


 光の無いリプリスの瞳がキツネ面を見る。



 「……言ったはずだけどね……利用されるのはごめんだよ……」


 セティの瞳もキツネ面を見る。


 


 「……私、僕、俺には……全てが見えている……」


 キツネ面はその面の下で笑みを浮かべ……


 「弱者を演じてね……ずっと監視していた……」


 仮面のしたから……そんな瞳を転生者へ向ける。



 「全部……全部……《《見えている》》」


 キツネ面は点を見上げながら……


 「知っている結末ほど……つまらないものはない……」


 面の下でさびしそうに笑い……


 「それほど……つまらないものはないでしょ?」


 その結末しょうりを見ているように……

 キツネ面は……セティを通し、転生者全体に言う。

 

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