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神聖六賢者

 真っ白な部屋……


 まるで作られたような空間。



 真っ白なドレスを着たフィーリアが王座のような椅子の前に立ち、

 真っ白な制服を着た男女が6人集められている。



 「フィーリア最高司祭様、お呼びでございますか……」


 絶対なる忠誠を誓うように膝をつき旨に右の拳をあてながら、

 白の制服を着る金髪の青年がフィーリアに尋ねる。



 「あのさぁ……さいこー司祭様ぁ、あたしらもさぁ、そんな暇じゃねーんだよなぁ、まださ、三つの勢力だか決着ついてねぇんだろ?」


 制服のズボンのポケットに両手を突っ込み、制服についているフードを深くかぶりながらも、黒い前髪と、目つきの悪い顔と、顔には少し黒い刺青が入っている女性。



 「態度を慎め、最高司祭様の前だっ!」


 先に発言した金髪の青年がその黒い髪の女性の態度を改めるよう睨むように言う。



 「ほんと、我らがリーダー様は、フィーリア司祭様、ラブだよなって」


 ちゃら目の見た目のオレンジ色の髪、顔にはサングラスのようなものをかけた青年が金髪の男に向け言う。



 「急なおよびお呼び立てをして、ごめんなさい」


 フィーリアは目の前の6人にそう呼びかけながら、全員を見る。



 「ルーセウス……」


 「はっ!」


 金髪の青年がフィーリアにその名を呼ばれ、再び膝を突いた低い姿勢のまま頭を下げる。



 「ソルテ……」


 「……」


 フードをかぶる黒髪の女性が黙って返事をするように右手をあげる。



 「ディアス……」


 「はぁーい」


 同じように右手をだらしなくあげて、オレンジ色の髪の男が返事をする。



 「ティセ……」


 「ん……!」


 真っ白な部屋の真っ白な柱に背をつけるように、ソルテと同じように深くフードをかぶっている女性が短く返事をする。



 「マフィリド……」


 「はいはい、ここに……」


 かぶっていた白いシルクハットを右手で取り外し、自分の目の前で逆さにするような紳士的なポーズをとる、この中では一番の年配である。

 というよりは、マフィリドと呼ばれたこの男以外は、ほとんどが見た目は20代前後といったところだ。



 「ノウト……」


 「……」


 白い制服に、不釣合いの顔面を覆い隠すフルフェイスの兜だけを装着している。

 男女の判断すらできない。

 その感情も読み取れない。



 最高司祭と呼ばれた、フィーリアはそんな全員を見渡しその名を読み上げていく。



 「命令があれば、斬るだけだ……」


 ティセと呼ばれた女性がフィーリアの方を少しだけ顔を上げてみる。

 黒い影でかくれていた、美形な顔と赤茶色の前髪が見える。


 

 「あー、だからさぁ、まだ……神様のお遊びだかなんだかの3つの勢力の争いがさ、決着ついてだいだろって」


 ソルテが蛙のような姿勢でしゃがみながら、顔だけをティセに向ける。



 「フィーリア様、考えあっての事、その命令おつげを聞きましょう」


 マフィリドが二人の会話を阻止するように割って入る。



 「そうですね、ソルテの言うとおり、3勢力の決着はついていません」


 フィーリアはその前置きをしながら……



 「水晶による聖域の魔力もほとんど弱っていません、それでも彼らは近いうちに攻め込んできます」


 そう確信するように全員に目線を送る。



 「全く、何の意味があんの……神遊戯これ?」


 ソルテがふて腐れたような顔でフィーリアを見る。



 「意味など必要ない……必要なのは我々がフィーリア最高司祭様をお守りした結果だけ……ご安心下さい、私が最高司祭様に指一本触れさせはしません」


 金髪の青年、ルーセウスがその忠誠心を誓う。



 「ほんと……気持ち悪いほどの忠誠しんだなって」


 小ばかにするような、呆れたような顔でディアスがルーセウスに言う。



 「失礼しますっ!」


 一人の女性兵が入ってくる。



 「この国の勢力が、この教会へと押し寄せて来ているようです、見張りの部隊が応戦しておりますが、その数が多く、また中にはそれなりの手馴れの能力者も居るようで……」


 状況はよくないのだと、その口ぶりから全員が察するが……



 「我ら、神聖六賢者……最高司祭様に与えられた、誇り高き称号に恥じるな、各部隊を率いて絶対にここまで、侵入者を通すなっ!」


 ルーセウスが全員に呼びかけるように叫ぶ。



 「はいはい、ご苦労様だなって……点数稼ぎご苦労様だなって」


 ディアスはそう言いながらも、それらを向かいうつために部屋の外へと歩いていく。



 「命令があれば斬る……それだけだ」


 ティセもこれ以上、ここで馴れ合う気がないように部屋の外へと歩き出す。



 「………」


 ノウトもただ、黙ってそれに習うように外へと歩いていく。



 「必ずや、最高司祭様のめがねにかなう働きをご報告いたしましょう」


 紳士的に頭を下げながらマフィリドがその場から姿を消す。



 「はぁーい、あたしもめがねをかけてはたらきまぁーす」


 真面目に間違えているのかふざけて間違えているのか、

 ソルテが立ち上がると、眠そうにあくびをしながら部屋の外に歩き出す。



 「ご安心を……我々がフィーリア様を必ずお守りします」


 ルーセウスだけがその場に残り、その忠義の姿勢のままフィーリアに告げる。



 「期待しています……」


 フィーリアはただそう答えた。




 ・


 ・


 ・



 3つの勢力、その圧倒的な火力の前に神聖教会の門は簡単に破られる。


 だが、神聖教会その兵隊一人ひとりが、鍛錬されており、

 そして、聖域の魔力がさらにその兵隊を強化しているのだろう。


 その勢力を前に進軍が止まる。



 「ちっ……」


 ツキヨは繰り出される魔法を回避、初桜で防ぎながら交戦していたが、強力な魔法により地面が崩れ地下に落下する。


 「ここは……?」


 運良く、教会の中に進入出来たのかもしれないが……


 目の前の入り口には上に繋がる階段が見えていて……

 カツンカツンと階段を一歩一歩、音を立てるように下りてくる足音が聞こえる。


 「何者だ……」


 白い制服にフードをかぶった赤茶色の髪をした女性。


 ティセと呼ばれていた女性がツキヨの前に現れる。



 「命令だ……私はお前を斬る、それだけ」


 ティセがツキヨを見る。



 「呪えっ……まさむねっ!」


 ツキヨが一度鞘に収めた刀を再び抜く。

 黒い瞳が赤色に変色する。



 「……瘴気のろいの類か」


 その魔力を見ながら……



 「……抜刀っ……霧幻むげんっ」


 抜いた刀が、暗い地下で眩く輝いている。

 輝きが収まるように刀の形に収束しまるで透明のような輝きの刀が表れる。


 隙をあたえる暇もなく、先にツキヨが動くが、

 動きをすでに読み取っていたように、霧幻がまさむねの刃を受け止める。



 「うつせ……」


 ティセがつぶやく様に言う。



 勇者ライトほどの効果は無い、それでもその瞳に宿る力は、

 ある程度の敵の動きを読むことができる。


 動きさえ見えれば……予測は……



 「……なっ!?」


 真正面から刃を交えていた相手……

 確かに手ごたえもあった……

 そこから動きもその瞳は見ていない。


 頭を後ろに向ける。


 刃を構えたティセの姿がある。


 持ち前の運動神経で急速で身体を回転させ、後ろに振り返るとまさむねで霧幻を受け止める。



 「へぇ……反応できるんだ」


 ティセが少しツキヨに感心するように言う。



 「霧幻連武っ」


 「ちっ」


 繰り出される素早い連撃をツキヨがまさむねの刃で合わせるようにガードするが……



 「……なんで……」


 その瞳で追い、刃を受け止めたはずが、そのまさむねをすり抜けるように霧幻の刃がツキヨを何度も斬りつける。


 斬撃が衝撃に変換されるように、ツキヨの身体が突き飛ばされる。



 「まだ……立つ?それなら斬るだけだ」


 黙って立ち上がるツキヨとティセが睨みあう。



 再び、コツコツと足音が聞こえる。

 暗闇に二人が目線を送る。



 「犠牲となった命の数だけ、誰かを救いましょう……奪われた命の数だけ……誰かを斬りましょう」


 「抜刀……大蛇おろち


 ほっそりとした目の瞳が、ツキヨと同じように真っ赤に染まる。



 「あんたは?」


 ツキヨが現れたセキラを見る。



 「……争う事は好きじゃないんです……なぜかと申しますと、命を粗末にするなど、愚かな選択だと思いますから……それでも、奪い、奪われる……私もそんな愚かな人間ひとりに成り下がるしかないのでしょうか……」


 ツキヨが思わず生唾を飲み込む。

 恐怖に近い何かを、セキラの奥底に見る。



 「一人増えたところで……もう一人斬るだけだ」


 それだけだと、つまらなそうにティセがツキヨとセキラを流すように見る。



 「……のっとられるようで……好きじゃないんだ……」


 能力の奥深くに踏み込むように、ツキヨもそのまさむねの瘴気を強く取り込む。

 

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